脚本・演出と主演俳優の絶妙なコンビが魅力
では、なぜ「ゴジゲン」に期待を寄せるのか、理由はいたってシンプル。素晴らしい脚本を書ける人間と、その脚本を見事に演じきれる役者がいることです。
この劇団の主宰で、すべての作品の脚本・演出を手掛けるのは松居大悟。不器用にしか生きられない人間達が紡ぎだす軟弱なシチュエーションコメディを得意としています。常に弱者の視点から書かれる脚本は、笑いあり、涙あり、そして最後には必ず胸が熱くなります。最近は外部公演の演出も手掛けながら、映像の世界でも活躍しており、2012年に『アフロ田中』で映画監督デビューをして以降、毎年の様に映画作品を世に送り出しています。今、最も将来性に期待できる注目の演出家です。
「ゴジゲン」の看板俳優は、特異な外見で圧倒的な存在感を放つ目次立樹。松居脚本の根底を流れる弱者への温かい視線を、実に細やかな演技で表現します。松居脚本、目次主演、どちらが欠けても「ゴジゲン」の世界感は成立しません。2011年、目次が突然農業をやると言い出し、劇団は休止状態となりました。一時は解散説も出ましたが、3年の時を経て2014年11月に復活公演を行い、活動を再開しています。
演劇ファンにとっては、創設当時から子供の成長を見守るように応援してきた劇団が、メジャーになることはこの上なくうれしいことです。自分の目に狂いはなかったと思う満足感はたまりません。今から自分好みの劇団を見つけて応援してみるのはいかがでしょうか?でもその前に、是非、「ゴジゲン」の可能性を確認するため、下北沢に出かけてみてください。
※写真は前回公演のもの。
ゴジゲン第13回公演『劇をしている』
2月13日(土)~22日(月) 下北沢 OFF・OFFシアター
作・演出:松居大悟
出演:目次立樹、松居大悟、東迎昴史郎、奥村徹也(劇団献身)、堀善雄、本折最強さとし
作品の詳細は公式サイトで。
出雲 あきら(いずも・あきら)
演劇評論家。ラジオや雑誌等で多くの演劇コーナーを担当。トニー賞授賞式に20年出席している唯一の日本人。広告会社電通に勤務する会社員でもある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。