1955年、米国。野心家の若手カメラマン、デニス・ストック(ロバート・パティンソン)は、新人俳優ジェームズ・ディーン(デイン・デハーン)と出会う。一目見てディーンがスターになると確信し、有名誌「LIFE」に掲載するため密着取材を持ちかける──。
「エデンの東」(55)、「理由なき反抗」(同)、「ジャイアンツ」(56)と3本の主演作品を残し、交通事故で急逝した伝説の青春スター、ディーン。没後60年に合わせて作られた「ディーン、君がいた瞬間(とき)」は死の直前、ストックと過ごした2週間の旅と友情を描く。
枠にはまらない若きカリスマ俳優は、苦悩と葛藤を抱えていた
「エデンの東」完成直後、「理由なき反抗」の前。監督主催のパーティーで二人は出会う。たちまち意気投合し、ディーンは「エデンの東」の試写にストックを誘う。スクリーンに映るディーンの輝きに、ストックは驚愕。所属する写真家集団「マグナム・フォト」の上司に連絡し、密着フォト・エッセイを計画する。
被写体と写真家として出会った二人は、ロサンゼルスからニューヨーク、ストックの故郷インディアナへ旅する。濃密な時間をともに過ごし、友情が育まれていく。
自身も写真家であるアントン・コービン監督は、ストックと同じ視点でディーンを見つめる。保守的だった50年代、枠にはまらない若きカリスマ俳優は、苦悩と葛藤を抱えていた。映画の中の姿と異なり、繊細で傷つきやすい青年だった。一方でカメラは、ストックの別れた妻子、ディーンとの対立も掘り下げていく。
雨のブロードウェイを、黒いコートのディーンが煙草をくわえ、肩をすぼめて歩いている。よく知られる写真は、ストックが撮ったものだった。同じカットを再現したシーンは、ファンにはたまらないだろう。 話し方から外見まで似せたデハーン、ストック役のパティンソンも好演だ。
「ディーン、君がいた瞬間(とき)」(2015年、米国)
監督:アントン・コービン
出演:デイン・デハーン、ロバート・パティンソン、ジョエル・エドガートン、ベン・キングズレー、アレッサンドラ・マストロナルディ
2015年12月19日(土)、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。