米ルイジアナ州の田舎町。石油採掘基地で働くドーソン(ジェームズ・マースデン)は、爆破事故から奇跡的に生還し、一度は捨てた「物事にはすべて意味がある」という考えを再び信じ始める。事故直後、恩人で友人のタックが他界。彼の遺言を高校時代の恋人アマンダ(ミシェル・モナハン)と実行に移すことになる──。
「きみに読む物語」(04)の原作者ニコラス・スパークスの人気小説を映画化した「かけがえのない人」。スパークスの小説は「親愛なるきみへ」(10)、「セイフヘイヴン」(13)など出版18作品の10作品が映像化されている。監督は「終着駅 トルストイ最後の旅」(09)「モネ・ゲーム」(12)のマイケル・ホフマン。
愛と悲劇、過去と現在が絡み合う
高校時代に恋人同士だった二人の現在、過去が交錯して描かれる。若きドーソンはアマンダと恋に落ち、「守護神」タックと出会い、擬似親子のような関係を築く。しかし、麻薬にかかわるドーソンの家族が運命を狂わせ、取り返しのつかない事態を引き起こす。一方、並行して描かれる現在では、ドーソンは独り身、アマンダは夫と息子と幸せに暮らしている。
愛と悲劇、過去と現在が絡み合い、主人公は運命に導かれ道を切り開く。スパークス原作らしい物語で、恋愛作品として安定した仕上がりだ。エピソードの偶然性にはやや出来過ぎの感もあるが、観客が望む方向へ緩急自在に正攻法で描く。二人の思い出の場所を過去と現在の両方で映し出し、時の流れを視覚的に見せる。心憎い演出だ。
「物事にはすべて意味がある」の言葉通り、偶然と必然を超えた幕引き。さじ加減が絶妙なラブストーリーだ。
「かけがえのない人」(2014年、米国)
監督:マイケル・ホフマン
出演:ミシェル・モナハン、ジェームズ・マースデン、ルーク・ブレイシー、リアナ・リベラト、キャロライン・グッドオール
2015年8月22日(土)、YEBISU GARDEN CINEMAほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。