米某所のブリー刑務所。巨大監獄の独裁者、ビル・ボス所長(ディーター・ラーザー)は、所内トラブルの多さに腹を立てていた。暴動は日常茶飯事、受刑者の医療費はかさみ、職員の離職率は高い。上から解雇を匂わされた所長は、恐ろしいアイデアを実行に移す──。
シュールで限界知らずの作風は、さらにパワーアップ
人間の肛門を別の人間の口とくっつけ、数珠つなぎにして「改造人間」を作り出す。奇抜なアイデアで世界を絶句させた映画「ムカデ人間」(09)。生みの親のトム・シックス監督によるシリーズ3作目、今回が最終作で集大成といえよう。前2作で登場した俳優に加え、監督自身もムカデ人間作りのアドバイザー役で登場する悪ノリぶり。ジュリア・ロバーツの兄、エリック・ロバーツも知事役で出演している。
3作目は前2作の世界観を引き継ぎ、パラレルワールドのような舞台に発展させている。所長は凶悪化した受刑者を静まらせるため、シリーズ最高の500人をつないでムカデ人間にする。1作目の3人、2作目の12人に比べると、途方もないスケールだ。所長役のラーザーは終始絶叫気味のハイテンション演技。どこまでも独創的で悪趣味極まりない。
監督のシュールで限界知らずの作風は、さらにパワーアップした。常識破りで人に嫌悪感を抱かせ、混沌とした空気が充満している。キワモノ好きなホラーマニアにはおすすめの作品といえよう。
「ムカデ人間3」(2015年、米・オランダ)
監督トム・シックス
出演:ディーター・ラーザー、ローレンス・R・ハーベイ、トム・シックス、エリック・ロバーツ、北村昭博
2015年8月22日(土)、新宿武蔵野館ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。