一緒に仕事をしている芸人さんの結成20周年単独ライブを楽しむ。オムニバス映画のような凝った作りで、彼が本当にやりたいことってこういうことだったのかと驚きながら堪能させていただいた。
ライブについて語るとき、氏の瞳は輝いていた。ネタ作りにかけた思い、長い準備期間、今後の芸能人生においてもエポックとなるライブ。そう、ずっと温めていたものが世の中に誕生する、夢が実現した日だったのだ。
定年退職を機に夢を実行
ああ、いいステージだったと思うながら次の現場へ。長年、一緒に番組を制作していた女性の元へと急ぐ。H女史は定年退職を機に、一流のものに囲まれたサロンを作るという。家が近所ということもあって、彼女の自宅で深夜まで飲みながら打ち合わせをすることたびたび。その都度、家の調度品にため息がもれた。
東洋美術を中心にしたアンティークにあふれ、「はい、おまちどうさま」とさんまの塩焼きが平気で江戸時代の器に乗って出される。彼女は常々、本当に価値のある品物を愛でながらゆっくりとコーヒーを飲めるサロンをいつか開くのだと言っていた。この日、ついにサロンがオープンするとあってささやかなオープニングパーティーに呼ばれていたのだ。
青山の裏路地にある1軒家を改装したサロンは、それはステキなものだった。「これ、実はね」と説明してくれるのは、日本画の大家の作品や著名な現代美術家の作品、さらには安土桃山時代の茶飲み、中国の書や器と、美術館並みの品ぞろえ。「はあ~。スゴイっすね」としか言えないオンチだが、すばらしいのはなんとなくわかる。
久しぶりにお会いしたH女史は母と同じぐらいの60歳過ぎなのだが、やはりこれまで見たことがないぐらいに瞳が輝いていた。
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