浅田次郎の同名歴史小説の映画化「柘榴坂の仇討」のプレミア試写会がこのほど、東京・有楽町で開かれ、主演の中井貴一、阿部寛、広末涼子、真飛聖、若松節朗監督、浅田次郎が舞台あいさつした。中井は「時代劇を多くの人に観てほしい」と語った。
「桜田門外の変」で主君・井伊直弼(中村吉右衛門)を失い、仇討ちのため下手人を追う彦根藩藩士・志村金吾(中井)と、井伊を殺し身を隠して生きる水戸藩藩士・佐橋十兵衛(阿部)が、13年を経てめぐり合い、運命に翻弄される物語。
中井と阿部の共演は「麒麟の翼 劇場版 新参者」(12)以来2年ぶり。中井は「いま時代劇は不振と言われているが、真正面から日本人の心を映し出したつもり。ゆっくり観てほしい」とあいさつ。阿部は「久しぶりの時代劇だったが、貴一さんがこの役をやられると聞き、ぜひにと受けた」と語った。
中井たっての希望で広末が指名
時代劇出演の多い中井は「僕のポリシーは『映画は大きなうそをついても、小さなうそはつかない』。所作などは美しくありたいと心がけた」と振り返った。車引きを演じた阿部は「とても難しかった。現代の人力車はタイヤがゴムだが、昔は木でできていた。木の車を引く感覚に慣れるため、撮影所をぐるぐる回って練習した」と話した。
金吾の妻・セツには、中井たっての希望で広末が指名されたという。「中井さんは撮影中もずっと金吾さんのまま。現場でも姿勢を正しているので、生きざまが見えてくる。おかげで自然とセツになれた」と感謝の言葉をかけた。
さらに、浅田が原作について「ずいぶん昔に書いた短くささやかな小説。素晴らしい脚色、立派なストーリーにしてもらった。作家冥利に尽きる」と語った。若松監督は「俳優たちは思いを胸に秘め、抑えた芝居をしてくれた。サスペンス感もたっぷりで、最後は感動のエンディングとなる」と自信を示した。
最後に中井が締めくくりのあいさつ。「飛び道具を一切排除し、真っ向から日本人の心をとらえた映画。時代劇はここ数年あまり良くないが、火をともし続けなければならない。とんなに火が小さくなっても、作り続けるのが僕たちの使命。時代劇を多くの人たちに観てもらいたい」と呼びかけた。
「柘榴坂の仇討」(2014年、日本)
監督:若松節朗
出演:中井貴一、阿部寛、広末涼子、高嶋政宏、真飛聖、吉田栄作、堂珍嘉邦、近江陽一郎、木崎ゆりあ、藤竜也、中村吉右衛門
2014年9月20日(土)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
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