台湾激動の30年を描く映画「GF*BF」(2014年6月7日公開)のヤン・ヤーチェ(楊雅[吉吉])監督の公式インタビューが届いた。男女3人の愛と葛藤を軸に、戒厳令解除から現在に至る台湾社会の変化を映し出した作品だ。
映画は民主化前夜、1990年に起きた学生運動「野百合学運」も取り上げている。台湾では今年3月、中国とのサービス貿易協定締結に反対し、大学生らが立法院(日本の国会に相当)を20日以上にわたって占拠したばかり。現場にしばしば赴き、上映会も開いたというヤン監督は「今の情熱、街で闘争に参加した理由を記憶にとどめてほしい。そうすれば台湾はさらによくなっていく」と語った。
「やはり私には、冷めたところがある」
――実際に起きた出来事、事件を作品に取り入れるのはなぜですか。
私は常々、実際の文化や時空を背景とするストーリーでなければ、感情や力強さに欠けると思っています。だからこそ文化的背景をリアルに描くことが非常に重要です。私が意図したことは、台湾のこの30年の社会変化を背景に、人々の感情のストーリーを展開することでした。30年間の感情の変化は、台湾の人たちの世界観や感情の表し方と密接な関係があります。保守的な時代から混沌とした90年代に入ると、感情のとらえ方に変化が生まれました。今、私たちは愛情、感情、友情に対して少しずつ寬容になり、理解を示すようになってきました。
その変化はこの映画にとって、非常に重要な要素です。3人の間の感情の変化についていえば、無知で無分別な少年時代から、大学時代、青年時代にはやや激しい感情へと移り変わり、最後には皆が互いの感情に理解を示し、寛容になっていきます。こうした流れはとても重要だと思います。私はその流れを表現するため、実際の歴史的事件を映画で取り上げることにしたのです。台湾における30年の変化は、まさに私たちの感情表現の変化だと言えます。
――ご自身が学生運動に参加したことはありますか。
私は学生時代、あまり先生の言うことを聞かない生徒でした。私が学校に通っていた頃、台湾には戒厳令が敷かれていました。台湾社会が自由を得るため、変化しようとしている様子を見てきました。でも私自身が学生運動に参加した経験は、さほど多くありません。中心になって参加するのではなく、傍らで見ているタイプ。壇上で話すようなことはありませんでした。
後に社会に出て、仕事を始めてから少しずつさまざまな意見に触れ、(社会運動に)参加する回数が増え、支援するだけでなく自ら声を上げ、人々に呼びかけるようになりました。ただ、私自身は運動そのものには比較的冷静に取り組んでいて、すべての情熱を注ぎ込むことはありませんでした。これは恋愛にも当てはまります。自分のすべてを注ぎ込んだものの、後になって後悔したり、信じていたものが実は違っていた、と気づくかもしれないでしょう? やはり私には、冷めたところがあるのだと思います。
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