2013/11/15

映画「マラヴィータ」/くせ者ぞろいの一家が起こすトラブルの連続 マーチン・スコセッシの元に豪華キャスト集結

「タクシードライバー」(76)、「レイジング・ブル」(80)など、数々の名作を世に送り出したマーチン・スコセッシ監督と俳優ロバート・デ・ニーロのコンビ。新作「マラヴィータ」はスコセッシが製作総指揮に回り、監督にリュック・ベッソンを迎えた。「マラヴィータ」はイタリア語で"裏社会"の意味。劇中登場する主人公の愛犬の名にもなっている。

監督のベッソンは「グラン・ブルー」(88)、「ニキータ」(90)、「レオン」(94)など快作を連発し、フランス映画界に新風を送り込んだ。「ジャンヌ・ダルク」(99)を最後にいったん監督を休業。プロデューサー、脚本家として手腕を発揮する。「TAXi」、「トランスポーター」、「96時間」などヒットを飛ばし、「アンジェラ」(05)で監督に復帰した。

アメリカを代表する2人とフランスの鬼才が魅せる化学反応

「マラヴィータ」の舞台はベッソンの母国フランスはノルマンディー地方。第二次世界大戦を描いた「史上最大の作戦」(62)、「プライベート・ライアン」(98)に登場する"ノルマンディー上陸作戦"でも知られる。

命を狙われる元マフィアのボス、ブレイク一家。米連邦捜査局(FBI)の証人保護プログラムで、ノルマンディーの田舎町にやって来た。あるじのフレッド(ロバート・デ・ニーロ)は新居の倉庫でタイプライターを発見。隣人に「自分は歴史作家」と嘘をつき、自叙伝を書き始める。

家族もくせ者ぞろいだ。妻マギー(ミシェル・ファイファー)は気に入らない食品店をガスボンベで爆破。長男ウォレン(ジョン・ディレオ)は悪知恵を働かせ、学校で情報収集を始める。セクシーな長女ベル(ディアナ・アグロン)はナンパしてきた馬鹿な男子をラケットでめった打ち。

そんな一家に対し、FBI捜査官(トミー・リー・ジョーンズ)は「町になじめ」と命令する。一方、米ニューヨークで服役するマフィアのボスが、ひょんなことからブレイク一家の居場所を知る。フレッドに積年の恨みを募らせるボスは、ノルマンディーに刺客を送り込む。

ベッソンはここ数年、プロデュース作品は勢いがあるのに、監督作品に全盛期の輝きが感じられなかった。しかし「マラヴィータ」ではスコセッシ&デ・ニーロに刺激されたのか、久しぶりに弾けたところを見せている。ブラック・ユーモアあふれるテンポの良さと、絵で見せる切れのいいアクション。90年代のベッソン作品を思い起こさせる。

スコセッシ&デ・ニーロによる「グッドフェローズ」(90)からの引用も見せ、二人に敬意を表している。映画ファンなら顔がほころぶ心憎い演出だ。米国を代表する二人とフランスの鬼才が顔合わせ。見事な化学反応が起き、予想を越えてエキサイティングな作品となった。


「マラヴィータ」(2013年、米・仏)
監督:リュック・ベッソン
製作総指揮:マーチン・スコセッシ
出演:ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファー、トミー・リー・ジョーンズ、ダイアナ・アグロンベル、ジョン・ドレオ
2013年11月15日、TOHOシネマズ有楽座ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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