ちょっといい人材は、スキャンダルを書かれたりして、すぐにつぶされてしまう
──最近香港から有望な若手俳優、女優がなかなか出てこない。原因はどこにあると思いますか。
ルク:業界全体が新人育成にあまり力を入れていない。過去の香港映画スターはテレビ出身が多く、テレビ局が人材育成に貢献していた。ところが20年ほど前から、テレビ局が「どうせ映画に取られる。なぜ育てなければならないんだ」と言い始めた。人気が出ると押さえ込むことが続き、なかなか新人が出てこなくなった。今の香港で人気があり、興行成績を保証できる俳優は、みな50歳近いよ。
では20、30代はどうか。男性なら一番油が乗る時期なのに、誰もいない。今回起用したエディ・ポン(彭于晏)も台湾人だしね。香港ではちょっといい人材が出てくると、スキャンダルを書かれたりして、すぐにつぶされてしまう。本当にもったいないよ。マネージメントや育成方法を分かっていないんだ。恥ずかしい話だけれど。
──次回作の構想は。
ルク:2作目を撮影中だ。次は「アジアで危機が発生する」アクションで、舞台は香港。日本でも撮る計画だったのに、予算が足りなくなった。スタッフは最初「日本も行くなんていいね」と興奮していたのに、お金が足りないと聞いてがっくり(笑)。この作品が終わったら「コールド・ウォー」の続編を撮る予定。脚本も3分の1は書いた。いつかは日本で映画を撮りたい。どんなことがあってもね。
リョン:一歩を踏み出したばかりなので、先のことは考えていない。足場固めの段階なんだ。当面は香港を舞台に映画を撮りたい。
ルク:「ブラック・レイン」(89、リドリー・スコット監督)が好きなんだ。マイケル・ダグラスが日本に来て、日本人と事件を解決する。僕らもそんな映画が撮りたい。香港人が日本に来て、文化の違いでぶつかりあい、最終的に力を合わせて解決する。なかなかいいと思うよ。
リョン・ロクマン(梁楽民) 1971年生まれ。94年、映画製作会社「UFO(電影人製作有限公司)に美術担当として入社。携わった作品は「バグ・ミー・テンダー 恋と友情の物語」(05、ロー・チーリョン監督)、「コネクテッド」(08、ベニー・チャン監督)、「イップ・マン 誕生」(10、ハーマン・ヤウ)監督など。
サニー・ルク(陸剣青) 1967年生まれ。89年、映画製作会社「シネマ・シティ(新藝城影業有限公司)」に配給担当として入社。助監督としてジョー・マー、リンゴ・ラム、チャウ・シンチー、ゴードン・チャン、ダンテ・ラム、ハーマン・ヤウ、バリー・ウォンらの作品に携わる。
「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義」(2012年、香港)
監督:リョン・ロクマン(梁楽民)&サニー・ルク(陸剣青)
出演:アーロン・クォック(郭富城)、レオン・カーファイ(梁家輝)、アーリフ・リー(李治廷)、エディ・ポン(彭于晏)、チャーリー・ヤン(楊采[女尼])、アンディ・ラウ(劉徳華)
2013年10月26日、シネマート新宿ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。