2013/5/23

映画「三姉妹 雲南の子」/両親の不在、病気、暴力... 貧困地帯で生きる少女たち

世界第2位の経済大国、中国。だが巨大な富は、国の隅々まで行き渡っているわけではない。雲南省の高地に位置する小さな村。そこでは繁栄から取り残された人々が、"赤貧洗うがごとき"生活を送っている。

父の帰還 それでも長女の面倒を見る余裕はない

「三姉妹 雲南の子」は、「鉄西区」(99~03)、「無言歌」(10)のワン・ビン(王兵)監督が、村で暮らす3人の幼い姉妹にカメラを向けた新作ドキュメンタリーである。

映画は3人の少女の日常を淡々と映し出していく。最初に気付くのは、両親の不在である。死別したのか、捨てられたのか。説明がないまま見ていくと、母親は夫と娘たちを捨てて逃げ出し、父親は都会に出稼ぎに出ていることが分かる。

2人の妹の面倒を見ているのは、長女である。彼女は1日の大半を家畜の世話や農作業に費やし、妹たちに食事を与えている。近くに住む親戚を手伝うこともあり、その見返りだろう、ともに夕食を囲む姿も映し出される。

親戚の家にはテレビがある。少女たちにとっては唯一の娯楽だ。次女がちょくちょく口にする歌の一節やドラマのセリフらしき言葉のかけらは、テレビで聞き覚えたものに違いない。長女は10歳だが、ほとんど学校へは通えないようだ。しかも彼女はしょっちゅう咳をしている。病気なのだろうか。しかし、彼女を気遣う者はいない。やがて父親は出稼ぎから帰ってくるが、それもつかの間、妹2人を連れて再び村を出て行く。長女の面倒を見るだけの余裕はないのだ。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]置き去りにされた長女が暴力をふるう 見ていて辛い...
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