おしゃれ上級者が着がちな、マルタン マルジェラ。都築響一氏の写真集「着倒れ方丈記 HAPPY VICTIMS」で、マルタン・マルジェラのコレクターの方の部屋の写真を見たことがありました。白い家具で統一され、山海塾のポスターが貼られたスキのない部屋にモード服が散乱。しかし乱雑に見えて服の素材やフォルムがしっかりしているせいか、そんなに汚く見えず、アートな雰囲気でした。あとは、おしゃれ草食男子は、マルタン・マルジェラのTシャツをさらっと一枚だけ着て、乳首を透けさせているというイメージがあります。
自分にはとても着こなせない、と、埼玉出身の小心が出てこれまで着たことはなかったのですが、ショップに入る勇気はなくてもセレクトショップに売られているのを発見。そして購入したのが、マルタン マルジェラのラインの一つである「MM 6 Maison Martin Margiela」のTシャツと言っていいのかカットソーと言っていいのかわかりませんが、ライトグリーンのトップスです。
今週の粗品プレゼント
憧れブランドの服でしたが、自分が着るとあまり高そうに見えません。マルタン・マルジェラを着ているようには見えないです。丈が長めでもったりしているので、ボトムに何を合わせるかが悩ましいです。パンツをはく習慣がほとんどないので、フレアミニスカートとかを合わせていたら微妙にダサくなってしまいました。でも、タグに「Martin Margiela」とか書かれているので、もったいなくて手放せないでタンスのこやしになっていました。しかし先日、学習しない私は、アレキサンダー・ワンにはとても見えない(私が着ると)野暮ったいストライプシャツを購入してしまい、後悔に苛まれています。なので自戒の念をこめて、「MM 6 Maison Martin Margiela」のトップスをどなたかにお譲りしたいと思います。ブランドネームに弱い自分の愚かさを反省しつつ......。
辛酸なめ子
1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。