小腹が空いたとき、つい手を伸ばしてしまう「ポテトチップス」。おいしい半面、塩分や油が気になるところですが、国民の「肥満」に警鐘を鳴らすべく、ハンガリー政府は2011年9月から「ポテトチップス税」を導入しました。
「ポテトチップス税」はあくまで通称。正確には、塩分や糖分の高い食品、清涼飲料水に対して5~20%課税をするというもので、袋入りスナック菓子やクッキー、炭酸飲料などを対象にしています。これにより、ポテトチップスは標準サイズの袋で値段が1割~2割上がり、ケーキやアイスクリームも1キログラムあたり100フォリント(約40円)値上がりしたそうです。
OECDが2007年にまとめた「主要30か国の15歳以上の肥満率」によると、ハンガリーは8位で18.8%。かなり高い割合です(日本は3.4%で最下位)。さらにWHOの2008年の統計では、成人男性の26.2%、女性の20.4%が肥満と、さらに高い数字が出ています。
この数字を見ると、国民の健康向上につながる良案のように思えますが、一方で波紋も広がっています。税導入によって早速、独メーカーがポップコーン工場建設を断念する事態に追い込まれました。国内の食品生産者協会も「業界への相談もなく拙速に導入された法律」だとして批判し、「外国企業を撤退に追い込み、中小生産者を苦しめる」との見解を示しています。
課税そのものに対しても、国民の肥満対策という表向きの目的だけでなく、年間7400万ユーロ(約81億2300万)相当の税収アップが本当の狙いでは、との見方も。今後に注目が集まります。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。