映画「STOP」 キム・ギドク監督インタビュー/反原発がテーマ「私はひとりの地球人として撮った」

STOP キム・ギドク

キム・ギドク監督

東日本大震災、福島第一原子力発電所発の事故から5年を控えた2月末、韓国の鬼才キム・ギドク監督が「反原発」をテーマに日本で撮影した映画「STOP」が北海道のゆうばり国際ファンタスティック映画祭で上映された。

原発事故後の人々の不安と苦しみを"ギドク節"で描いた「STOP」は昨年の釜山国際映画祭で発表され、日本では初上映となる。出演兼プロデューサーの合アレンとともにゆうばりを訪れたキム監督が、映画に込めた脱原発への思いを語った。

映画を通して「フクシマを忘れないで」と訴えたかった

原発がある地方都市が大地震に見舞われ、若い夫婦は避難命令を受けて東京に向かう。ほどなく妊娠中の妻のもとに、放射能の影響を理由に堕胎を勧める男が現れ、妻は次第に不安に押しつぶされていく。そんな妻を安心させるため、夫は自宅に戻って一見何も変わらない風景や動物を写真に収めようとするが、そこでショッキングな光景を目にする。やがて妻は胎児を守る気持ちを固めるが、夫は不安にさいなまれて極端な破壊行動に出る。夫婦と生まれてくる子どもには、どんな運命が待っているのか――。

──「STOP」は全編日本ロケでキャストも全員日本人。キム監督が脚本と演出のほか撮影、照明、音声など技術面をすべて一人で担当しました。

毎日、やめて帰りたいと思うほどたいへんな現場だった。合アレンさんら日本の出演者たちが進行や運転、小道具などの作業を助けてくれたため、なんとか撮影を終えられた。日本の出演者たちには本当に感謝している。

──挑戦的で刺激的な映像表現は今回も健在。舞台と言語が日本であるだけに、日本に住む私たちには衝撃が直接的に伝わってきます。

原発問題が日本で敏感で微妙な問題であることは知っている。韓国人である自分が日本の問題を描くことへの反発も予想した。だが私はこの映画を、一人の地球人として撮った。原発事故で最も大きな被害を受けるのは子どもたちの未来だ。大人の利益のために次世代にリスクを残すのは不幸なことだ。

人間には忘却という、神が与えたものがある。つらい思い出を忘れて再生するための"よい忘却"もあるが、人間の失態を忘れてしまう忘却は恐ろしい。この映画を通して「フクシマを忘れないで」と訴えたかった。

キム監督と合アレン=いずれも北海道夕張市で2月下旬

[続き]事故が起これば韓国も日本も安全ではいられない
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