戦後70年の節目となる今年、男優だけの劇団「スタジオライフ」が、手塚治虫の不朽の名作『アドルフに告ぐ』の舞台化に再び挑みます。
『アドルフに告ぐ』は1983年から2年間にわたって週刊文春に連載された作品で、手塚治虫後期の傑作の一つです。第二次世界大戦下の日本とドイツを舞台に、歴史に翻弄される主人公達の数奇な運命を描く壮大な大河ドラマです。手塚が漫画雑誌ではなく、一般週刊誌に連載したのはこの作品が初めてで、シリアスでハードな内容に加え、手塚作品には珍しい恋愛の要素もあり、大人から子供まで、あらゆる層に読みごたえのある内容になっています。
戦後70年にどうしてももう一度上演したい
スタジオライフはこの作品を2007年に舞台化しています。普段スタジオライフの劇場では見かけない原作ファンと思われる中高年男性が多く劇場に駆けつけ、見事に立体化された『アドルフに告ぐ』の世界に拍手を送りました。原作ファンの期待を絶対に裏切らないことに定評のある脚本・演出家の倉田淳の実力が遺憾なく発揮された作品となったといえるでしょう。
そして初演から7年経ち、満を持しての再演となります。それは昨年他界した河内喜一朗代表が、戦後70年という節目にどうしてももう一度上演したいとこだわっていたためと聞きます。
今回は日本での状況を中心とした「日本編」とドイツでの状況を辿っていく『ドイツ編』に加えて、2007年の初演版の構成を生かした「特別編」の3作品が日替わりで上演されます。また、「日本編」と「ドイツ編」は、スタジオライフの特徴でもあるダブルキャストで上演されるため、計5パターンの作品が楽しめることになります。
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