米ニューヨーク。巨大病院のベテラン看護師アビゲイル・ラッセル(パス・デ・ラ・ウエルタ)は、表向きは献身的な"白衣の天使"。しかし裏の顔は、夜の街で男たちを惨殺する連続殺人鬼だった──。監督、共同脚本は「THE DAY ザ・デイ」(11)のダグラス・アーニオコスキー。
男を惑わせる姿は「氷の微笑」のシャロン・ストーンのよう
悪の「マッド・ナース」と化したアビゲイルと、彼女に魅入られた新人女性看護師ダニー(カトリーヌ・ボウデン)。物語は二人の視点で展開する。アビゲイルは女好きの男を殺すだけでは飽き足らず、女も毒牙にかけるバイセクシャル。若くかわいいダニーを孤立させ、恋人との仲を引き裂く。ダニーはわなにはまり、病院内は血みどろの修羅場と化す。
悪女映画の歴史に新たな名前を刻んだ「アビゲイル・ラッセル」は、薬物の知識で男たちを殺害するのは朝飯前。妖艶な容姿で男を惑わせ、女たちをも狂わせる。セクシーでクールな姿は「氷の微笑」(92)のシャロン・ストーンを思わせる。アビゲイルの残虐性には、幼少期のトラウマが関係していた。
全身血みどろで悪魔のナースを演じ切ったパス・デ・ラ・ウエルタ。振り切れた極悪ぶりが痛快だ。男も女も容赦なく血祭りにあげ、近年まれに見る悪女である。わなに落とされるカトリーナ・ボウデンのかわいらしさが、ウエルタの極悪ぶり際立たせる。
「白いドレスの女」(81)、「シリアル・ママ」(94)など、元祖セクシー悪女のキャスリーン・ターナーも、看護部長役でちらりと出演。「セント・エルモス・ファイヤー」(85)、「ブレックファスト・クラブ」(85)など、一世を風靡した若手俳優の総称"ブラット・パック"のジャド・ネルソンが、高圧的なセクハラ上司を演じている。ほかハル・ハートリー監督作品の常連マーティン・ドノヴァンなど、映画ファンおなじみのスターが「そんな役でいいの?」と思う小さな役を楽しげに演じている。大人に向けたエロス&スプラッター描写満載。刺激的な作品だ。
「マッド・ナース」(2013年、米)
監督:ダグラス・アーニオコスキー
出演:パス・デ・ラ・ウエルタ、カトリーナ・ボウデン、ジャド・ネルソン、キャスリーン・ターナー、マーティン・ドノバン
2015年2月28日(土)、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
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