『子どもが欲しいかわかりません』大町テラス 著(KADOKAWA)
いつか結婚して、子どもを産んで......と思い描いていても、どんな道を選ぶことになるかは、そのときが来るまでわからないもの。選択肢が多様化する中、自分が選んだ道と違う道を行く人を見て、「私はこれでいいの?」と悩むこともあるのではないでしょうか。
「結婚するしない、子どもを産む産まない。どんな人生を選ぼうとも後悔しないために」
漫画家・大町テラスさんの『子どもが欲しいかわかりません』(KADOKAWA)は、37歳の主人公が、妊活を始めた友人や産後すぐに職場復帰した友人、迫りくる出産のタイムリミットを意識しながら、「子どもっていつ産めばよかったんだっけ?」「子どもがかわいいと思えない私は、欠陥人間なのだろうか?」と悩み、自分なりの答えを見つけていく作品です。
どんな道を選んでも
青木カナコ(37)は、フリーランスのライター・編集者です。夫・リョウ(35)との夫婦仲は良好。仕事は忙しく、趣味も充実していて、今の生活に満足しています。一方、結婚して5年が経っても"子ナシ"夫婦であることに、焦りを感じ始めていました。
二人の出会いはマッチングアプリ。「子どもが欲しいか」の項目で、カナコは「わからない」を、リョウは「相手と相談して決める」を選択しました。
リョウは「カナコがいいと思えるタイミングに合わせるよ」と言いましたが、「今ならいい!」と思えるタイミングがないままに、気づけば5年。「まだ...」と「じゃあいつ?」の間を行ったり来たりしているのでした。
カナコはもともと、心配性で慎重派。選んだ未来の先の先まで想像し、延々と考え、悩むタイプ。もし子どもができたら、しばらくは仕事ができなくなるし、これまで積み上げてきたキャリアを捨てることになりかねない......。
どれを選んでも間違いではないし 選んだ道で満足を得ていくしかない 今までだってそうやってきた けど...
心の中はぐちゃぐちゃで、子育て中の友人の投稿に"いいね"を押せず、自己嫌悪。子どもをつくることをうっすらと視野に入れながらも、自分はどうしたいのか、カナコにはまだよくわかりませんでした。