ストイックでノーブルな、波動高い系の公園
(公園に設置されていた椅子とテーブルのセット。花を眺めながら優雅な時間を過ごせます)
そんな中、大人たちは塀に腰かけて飲食。ベンチも兼ねているようです。アウトドア用の優雅な椅子とテーブルもありました。ただストイックなことに自販機も売店もありません。
ちょうど、大通りをアフタヌーンティーバスツアーが通りかかりました。ロンドンバスで、イギリス大使館の前がコースになっているのでしょう。中ではおいしいスイーツを食べていると思うと羨ましいです。
(ちょうど公園の前を通りかかった、アフタヌーンティーバスツアー。しかもロンドンバスでした)
「皇居外苑半蔵門園地」は食の誘惑がないぶん、グレートな景色に集中できます。
端っこの木の陰から公園を見つめる婦人や、公園の奥で広大な空間を独り占めしている男性など、思い思いに公園を活用していました。
(ウィリアム皇太子が、2015年に植えられた「太白」。この時はまだ咲いていませんでしたが桜の中で最大級の花弁を持ってるそうです)
見どころの一つは、ウィリアム皇太子が、2015年に来日した時に大使館内に植えられたのを移植した桜。「太白」(英名グレートホワイト)という珍しい桜だそうです。またもやここにも「グレート」が。自画自賛が激しめです。
また、もう一つの見どころは、駐日英国大使公邸の外壁の一部です。
公園の片隅に渋い壁が一部残っていて遺跡のようでした。その近くの裏門の、古いガス灯のようなランプも趣きあります。随所にノーブル感があり、イギリスの貴族社会の片鱗を感じることができる公園です。
(かわいい愛犬を連れて来ている人も。ノーブルな公園で映え写真が撮影できます)
「皇居外苑半蔵門園地」、やっぱり名前が覚えられず、皇居外苑半蔵門園地、よかったですよ、と人に口頭で伝えにくいです。でももしかしたらその分、口コミであまり広がらず、穴場の公園になりそうです。
人知れず優雅な時間を楽しみたい時に訪れたいです。
(敷地が広いので、人口密度も低くて空間使いたい放題です。人々から遠く離れて佇む男性も)
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デ
ザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。