金属製ではなく「金属質感」。最上位クレカが「プラスチック製」にこだわる理由とは
昨年、カードのトレンドを紹介しました。
まず、カード情報が前ではなく後ろに移動。表面にあるのは名前やブランドロゴ、カード名など、必要最低限の情報のみです。他にも縦型のカードが増えたり、金属カードが増加したりしています。
そんな中、住信SBIネット銀行からニュースリリースが発表され、同社のキャッシュカード付きデビットカードの最上位カード「プラチナデビットカード(Mastercard)」の券面が変わるとありました。
ニュースリリースには「金属」とあったためプラチナデビットカード(Mastercard)も金属カードになるのかと思いましたが、もう一度ニュースリリースを見ると「金属質感カード」とあり、「金属質感?」と気になったわけです。
金属質感カードとは?
住信SBIネット銀行の広報さんに金属質感カードについて聞いてみたところ、あくまでも質感が金属であって、カード自体はプラスチックとのこと。
プラスチックだけど、見た目は金属っぽいよ、と言うカードのようです。
(公式サイトより)
凸版印刷が開発した「METAL SURFACE CARD」が採用されており、金属蒸着フィルムをカード表面に熱転写することで金属と同様の輝きと質感を表現できるようになったとのこと。
正直、見てみないとわからないため、3月下旬の発行開始と同時にプラチナデビットカード(Mastercard)を再発行してみました。
届いたカードはこれ。確かに金属っぽい。
しかし、プラスチックカードのため、持つと普通のクレカと同じ。金属カードはプラスチックカードの4倍~5倍程度の重さがあるため、若干微妙な感じもします。
それなら「金属カードを発行した方が高級感もあって良いのでは?」と思いますが、住信SBIネット銀行の場合は、金属カードではなく「金属質感」にこだわりました。
日本のATMや駅の券売機では、カードが吸い込まれることがあります。キャッシュカードを入れるとカードが吸い込まれて、取引後に出てきますよね。
実は、ATMや駅の券売機などで金属カードを利用すると、出てこなくなるリスクがあるんです。筆者も、一度コインパーキングで金属カードを入れたことがあります。最近は吸い込むタイプではないパーキングもありますが、そこは吸い込むタイプで「ガガガッ」と音が鳴っていました。
「やばいっ」と思いましたが、ゆっくりカードが出てきて決済が完了。これ以降、券売機などで金属カードは怖くて使っていないです。
住信SBIネット銀行のプラチナデビットカード(Mastercard)はデビットカードであり、キャッシュカードです。つまり、ATMでの利用が基本中の基本。
ATMの利用が推奨されていない金属カードを発行すると、トラブルが予想されるわけですね。従って、金属カードではなく、金属質感カードである「METAL SURFACE CARD」が重要だったのでしょう。
実際にセブン銀行ATMで出金してみましたが、気になることもなく取引できました。さすがにプラスチックカードです。
菊地崇仁
ポイント交換案内サイト「ポイント探検倶楽部」を運営する株式会社ポイ探の代表取締役。さまざまなポイントやカード情報に精通し、テレビや雑誌等で活躍中。著書に『新かんたんポイント&カード生活』(自由国民社)等がある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。