コロナ禍で高まる口腔ケアニーズ。歯科衛生士のアンケートでも患者さんの"相談の内容と量"が変わってきていることが明らかになりました。
歯科衛生士の2~3人に1人が、「口臭、矯正、歯の食いしばりに関する相談が増加」と回答しています。
咬合にも影響
日本フィンランドむし歯予防研究会は、全国の歯科衛生士200人を対象に「口腔ケアの実態調査」として、コロナ禍前後における口腔ケアニーズの変化に関してアンケート調査を行いました。
コロナ禍前と比べて、「口臭、口臭予防、口臭対策、口内衛生状態に関する患者さんのニーズが増えた」と感じている歯科衛生士の割合は、47%で約半数にのぼります。
また、「矯正に関する患者さんのニーズが増えた」と感じている歯科衛生士の割合は、34%。「歯ぎしり、歯の食いしばり、マウスピースに関する患者さんのニーズが増えた」と感じている歯科衛生士の割合は、半数以上の54%でした。
日本フィンランドむし歯予防研究会 理事長の羽村 章先生は、特に「歯ぎしり・歯のくいしばり・マウスピース」の診療項目が増えたことを受け、とても興味深いと話します。
羽村 章先生
増えた理由は推測でしかないとしながらも、「在宅勤務の増加が影響しているのでは」といいます。
「自宅でラップトップPCやタブレットを長時間操作することは、前かがみ状態になり易く、頭部前方位姿勢の原因になります。頭部前方位姿勢とは、いわゆる猫背の様に頭が肩よりも前方に突き出した状態です。この姿勢が長く続くと咀嚼筋や頭頸部の筋肉に異常な筋活動を強いることになり、その結果、肩こりや腰の痛みそして頭痛を生じるだけでなく、咬合にも影響を与えると考えられています。もちろん、くいしばりや歯ぎしりなどの原因になる可能性があり、歯科医院を訪れる患者さんも増えたのではないかと推察されます」
対応として、前かがみの姿勢では咀嚼がしにくいことから、ガムを噛むことにより自身の姿勢を確認するきっかけになるそう。
自宅でのデスクワークも、定期的に姿勢を見直しながら行うことが大切そうですね。
※調査概要:2021年10月15日~31日、インターネット調査
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。