究極の陽キャアーティスト、ピカソのヴァイブスを感じられるセラミック作品
2階にはお皿にダイナミックなタッチで描かれたセラミック作品が並んでいました。
笑顔や鳩、ヤギやフクロウなどのモチーフは見ていてポジティブな気持ちになります。
ピカン関連の映像を見られるコーナーや、ピカソのロッキングチェアが撮影OKなコーナーも(ただSNSなどに投稿は禁止)。映像では、ピカソが粘土をまだ湿ったままの状態からこねて形作り、息を吹き込むという説明がありました。女体をこねくり回すと申しては何ですが、女性たちから吸収した生命エネルギーを粘土に注入していたのかもしれません。
(ピカソの本はカフェの自分の席に持っていって読めるものと、書棚の周辺から持ち出せないものがあるので要注意。知らないで席に持っていこうとしたら警報が鳴ってしまいました)
美術鑑賞のあと、楽しみなのはカフェでのお茶です。2階から階段を降りると、カフェとミュージアムショップがあり、ピカソ関連の書籍も大量に並んでいます。
ハガキやトートバッグなどのお土産も販売。何より魅惑的なのは「ミニャルディーズセット」というミニデザートとドリンクのセット1100円です。罪悪感なく食べられる小さくてクオリティの高いケーキとお茶やコーヒーを楽しめます。
(タルトフリュイ(季節ごとのフルーツタルト)は、訪れた時はシャインマスカットでした。かなり良いシャインマスカットでした)
チョコレートケーキやフルーツタルト、ムース、マカロンなど種類も豊富でした。ピカソの版画が飾られているアートな空間で、繊細でおいしいケーキを食べながら、味覚や視覚、嗅覚などの感覚をアップグレード。この洗練された居心地の良い空間にいると、女好きでやりたい放題だったピカソのイメージもアップしそうです。
ところでふと気付いたのは、お土産コーナーにもイートインのメニューにもヨックモックのクッキーがないということ。このカフェに入った時、心のどこかで期待していたのですが......。ピカソの絵画に描かれていたクッキーで、欲求が刺激され、でも結局ここでは買えないことで飢餓感が高まります。
このミュージアムに来たお客さんは、ヨックモックへの訴求力が高まって、その後店舗を探して買いたくなってしまうのではないでしょうか? そんな消費誘導効果がさすがです。
(陶磁器を模したトイレのマークもかわいいです)
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デ
ザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。