10年に1度の傑作ミュージカルと言われる『ビリー・エリオット~リトル・ダンサー~』。待望の日本人キャストによる日本語での上演がいよいよ始まります。2000年にイギリスの舞台演出家スティーブン・ダンドリーが初めて監督した映画『Billy Elliot』は世界中の映画賞を総なめしました。翌年には『リトル・ダンサー』という邦題で日本でも公開され、熱心な女性ファンが連日劇場に駆けつけ、大ロングランを記録しました。
その後、映画を見て感動したポップス界の巨匠エルトン・ジョンがスタッフとして新たに参画し、2005年にロンドン・ウエストエンドでミュージカル舞台化されました。映画版のストーリーをベースに、ミュージカルとしてのエンターテインメント要素をふんだんに取り入れた本作はロンドンで大ヒットし、2008年にはニューヨーク、ブロードウェイに進出しました。翌年のトニー賞では作品賞、主演男優賞をはじめ10部門を受賞するという圧倒的な評価を得ています。特に主演男優賞では、当時ブロードウェイで主役のビリーを交替で演じていた3人が同時受賞するという前例のない快挙を達成しました。
上演不可能を可能にした主催者の熱意に感服
正直なところ、日本人キャストによる上演は不可能だと思っていました。なぜなら、ビリー役には、バレエができて、タップダンスを含むダンスが踊れて、歌が歌えて、芝居もできる11歳の男の子が3人以上必要で、そのような子役を日本でそろえることは難しいように思われたからです。
ところが、この公演を何としても現実化したかった主催者は、ビリーを探すオーディションを半年間かけて大々的に行い、そこで選ばれた子供たちに1年間に及ぶ特訓をするなど、実現に向けての努力を積み重ね、この度の日本公演にこぎつけたのです。
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