奈良の山奥で行われる「赤ちゃんの命を守る試験」 研究所まで行って気づいたこと
2016年11月30日に行われた育児用品メーカー「アップリカ」のプレスセミナーでは、新製品「フラディア グロウ ISOFIX」が完成するまでの苦労エピソードも、開発担当の河野さんから聞くことができました。(参照:「アップリカからISOFIX対応のベッド型チャイルドシート発売 安全と快適にこだわる『赤ちゃん学』とは」)
「フラディア グロウ ISOFIX」とはISOFIXという取り付け方法に対応した日本で初めての平らなベッド型チャイルドシートです。

セミナーでは苦労話も...
ミリ単位の調整を重ね、やっとの思いで完成した試作品は、ベッド型・後向き・前向きの3ステップの使い方でそれぞれ前後、側面の3方向からの衝突実験をクリアしなければいけないそう。もちろん1つでも基準に満たない項目があるとダメなので、そのたびに設計を見直し、合計550回以上の試験を行ったそうです。
プレスセミナーでも実験の動画を見たものの、実際"衝突実験"なんて見たことがありません。「ガッシャーン!」なんて派手にベビーカーを壁にぶつけている? もしかして車の衝突実験のようにダミーの人形とか吹き飛んじゃうの???
ずっと先の将来、ママになる日がくるかもしれない記者(20代女性)が思い切って、衝撃テストをやっているという奈良の「研究所」まで行ってみました。
製品化されなかった「幻のベビーカー」を発見

研究所まで来ちゃいました
研究所があるのは奈良県にある榛原というところ。東京から新幹線で京都まで行き、そこから1時間30分ほど電車に乗りました。榛原駅から車で山道を20分ほど行くと到着する自然に囲まれた静かなところです。
研究所にはアップリカの広報担当・山辺さんも同行し、アップリカについて教えてくれます。

ベビーカーがズラリ
そもそもアップリカは、ベビーカーから出発した育児用品の会社です。そのため研究所のミュージアムには、歴代ベビーカーがズラリ。衝撃テストの準備には少し時間がかかるようなので、準備が整うまでミュージアムを見学します。

なんじゃこりゃ!
まず目を引いたのは、入ってすぐのところに展示してあるアタッシュケースのようなもの。気になって思わず、
「これなんですか...?」
と山辺さんに尋ねてみると、創業者が1953年に作ったベビーカー「トラベルカー」だそう。確かに、広げるとベビーカーになります。畳むと片手で運べてコンパクトでとても便利そう!

コンパクトベビーカーの原型?
ですが、赤ちゃんの安全性などは考慮されていなかったため、製品化には至らなかったいわば"幻のベビーカー"。安全でないから売らないというのは、創業当時から「安全性」を重視していた動かぬ証拠とも言えます。
さらに、今では主流になっている座面が高めの"ハイシート"ベビーカーも国内ではアップリカが先駆けて発売したそうです。

左がハイシートタイプのベビーカー
「地面との距離が遠いほうが、地面からの熱やほこりから赤ちゃんを守れますし、赤ちゃんを抱き上げる際のママへの負担も軽くなります。赤ちゃんの安全性・快適性とママたちのニーズを考えて生まれた商品です」
発売当初は、その珍しさからハイシートは重心が高く危ないのでは? ともいわれたそうですが、今では他社でもハイシートがメジャーになっているとか。まさにベビーカーのパイオニアともいえるエピソードですね。
さらに奥に進むと、ド派手なベビーカーが目に入りました。ミラノに店舗を構えていたときの展示用の特別なベビーカーだそう。普段の製作作りでは挑戦できない機能性"度外視"のかっこいいベビーカーです。海外にも店舗を構えるほどの一流メーカーだということが伝わってきます。

ふわふわでかわいいけど、展示用
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。