出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2016/10/12

【第49回】劇団四季の新たな挑戦 新作ミュージカル「ノートルダムの鐘」ついに日本初演!

The Paper Mill Playhouse Company Rhoto by Jerry Dalia (C)Disney

『美女と野獣』『ライオンキング』『アイーダ』『リトルマーメイド』『アラジン』とディズニーが製作したミュージカルの日本公演を大成功に導いてきた劇団四季が、第6弾として満を持して『ノートルダムの鐘』の日本初演にチャレンジします。

なぜ、チャレンジという言葉を使ったのか、それはこの作品が今まで上演されてきた5作とは明らかに一線を画す大人向けの作品だからです。

これまで四季が扱ってきたのはファンタジックなディズニーの世界観を再現し、徹底的にエンタテーメント性を貫いたファミリー向けの作品でした。一方、『ノートルダムの鐘』は深い人間ドラマ、完成度の高い楽曲、演劇的にシンボリックな演出などが特徴です。この作品で劇団四季としても新たな大人の観客の開拓に期待をしているようです。

人間の光と闇を深く美しく描き出す荘厳なドラマ

今回の作品は、『レ・ミゼラブル』などで知られるフランスが生んだ世界的文豪ヴィクトル・ユーゴーが1831年に発表した『ノートルダム・ド・パリ(Notre-Dame de Paris)』が原作です。

3人の男性がひとりの女性を愛する"愛憎の四角関係"を描いた本作は、1923年製作の無声映画に始まり、数多くの舞台作品、そして1996年に公開されたディズニーの長編アニメーション映画に至るまで、世界中のクリエイターたちの想像力を掻き立て、多くの観客に感動を与えてきました。それは、人生や社会の光と闇を描く中で、その先にある一縷の望みを抱き明日を夢見て生きる物語が、人々の心を強く揺さぶるのだと思います。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]演劇的にシンボリックな演出
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