「ペットボトル症候群」って聞いたことはありますか? 正式な病名は「ソフトドリンク(清涼飲料水)ケトーシス」といい、突然発症する恐ろしい症状です。
症状としては、倦怠感、イライラ、意識がもうろうとする、のどの渇き、多尿、吐き気など。ひどい場合は命に関わることもあります。原因は糖分の摂り過ぎで体が糖を正常に代謝できなくなること。「糖尿病性ケトアシドーシス」という急性代謝失調です。
冷たい飲み物をゴクゴク飲んで「ぷはぁ~!」とやりたいこの季節、その危険性を知っておいた方が良さそうです。
いわば糖尿病のひとつ
注意が必要なのは、ジュースや甘い炭酸水、スポーツドリンク、缶コーヒーなど。これらを好んで飲む人は要注意です。
「ペットボトル症候群」に陥るメカニズムはこうです。
水分補給にソフトドリンクを飲むと、飲み物に含まれる糖質によって血糖値が上がります。血糖値が上がるとのどが渇くため、さらにソフトドリンクを飲んでしまい、高血糖を引き起こすという悪循環に陥ります。ソフトドリンクはのどが潤うどころか、まったく逆効果なのです。
そして、血糖値をコントロールするホルモンであるインスリンが不足しその働きが低下、糖の代謝がうまくいかず余計に血糖値が上がってしまいます。
糖質の代謝が滞ると体はエネルギー源を他に求めるようになり、体内のタンパク質や体脂肪を燃やし始めます。体脂肪が燃焼するというとダイエットには良いように思えますが、この時に大量に生産される「ケトン体」という物質に問題があります。
酸性物質であるケトン体が増えると血液が酸性に傾き、ペットボトル症候群の諸症状が現れます。この状態は「糖尿病性ケトアシドーシス」と呼ばれ、糖尿病の1つです。
冷たいジュースや炭酸飲料には多量の糖分が含まれていて、コーラなら500ミリリットルのペットボトル1本で約15個分の角砂糖が含まれています。ちょっとゾッとしますね。
汗を多くかいた時の水分やミネラル補給にはうってつけのスポーツドリンクも、注意が必要です。思いのほか糖質が高く、角砂糖9個分程度含まれているので、飲みすぎると糖質過多になります。
もちろん、飲み物だけが問題な訳ではありません。アイスクリームや果物の缶詰など、糖質の高い食品が原因になることもあります。
冷たいソーダやジュースがおいしい季節ですが、日常的な飲み物は水やお茶にし、甘い飲みものは時々にしましょう。ペットボトルなら小さいサイズを選んだり、一気飲みしないように少しずつ飲むようにしたりするだけで、効果はあるようです。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。