2015年11月23日、フジテレビ系番組「テラスハウス」出演で話題になった写真家で音楽家の今井洋介さんが、心筋梗塞のため31歳で亡くなりました。「若いのになぜ...」と、あまりに早すぎる突然の死に、ネット上でもショックを隠せない声が多くありました。
その中には、過激なダイエットが引き金になったのではないかという憶測もありました。 今井さんは過去に100キロも体重があったことがあり、ブログによると、ラーメンばかり食べていたのを2010年にダイエットをして、半年間で体重を65キロまで減らしたといいます。
でももしかしたら、原因は過激なダイエットではなく、太っていた過去にあるかもしれません。実は、若い時に太り過ぎていた女性は、ダイエットに成功した後も肥満に関連した心臓への悪影響が数十年も続くことが、新しい研究でわかったのです。
太っていた過去はダイエットで帳消しにならない
米ハーバード大学医学大学院Stephanie Chiuve氏らの研究チームは、健康な米国人女性7万2484人を対象に、1980~2012年まで追跡調査を行いました。対象者の18歳時点の身長と体重のほか、2年ごとにBMIを調べました。
その結果、18歳時点または試験開始時に過体重または肥満だった女性は、その後の減量の有無にかかわらず、32年間の追跡期間を通して心臓突然死リスクが高いことがわかったのです。つまり、今は正常な体重だとしても、過去に太り過ぎていた女性は心臓にリスクをもち続けるということ。ダイエットに成功しても、太っていた過去は健康上では必ずしもリセットされないのです。
Chiuve氏は「心臓突然死のほぼ4分の3は、現行のガイドラインでは高リスクと判定されない人で起こっている」と指摘しています。
今井さんは男性なので、この研究には必ずしも当てはまりませんが、100キロだった過去から脂質異常症となっていた可能性もあるそうです。体重があったときに動脈硬化が進んでいれば、その分心筋梗塞リスクも高くなるという指摘もあります。
また、Chiuve氏らの研究では、成人後早期から中年期にかけて体重が大幅に増加した女性も、18歳時点のBMIにかかわらず、心臓突然死リスクが高かったことが証明されています。体重が20キロ以上増加した女性では、適正体重を維持した人に比べて心臓突然死リスクは2倍に近かったというのです。
多くの女性にとって食欲とダイエットの葛藤は若いころからの永遠のテーマ。見た目だけではなく、心臓突然死のリスクという点でも、普段から体重管理はしっかりとしたいですね。もちろん、健康な方法で。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。