どの組織にもやっぱりアウトサイダーの人っている。この人のことを給料泥棒と言わずしてなんといえばいいんだというほど職場にいない人。いても権利ばかりを主張して与えられた仕事もできずにひたすら居眠りしている人。心がポキっと折れている人もいるけれど、たちが悪いのは折れているフリをする大人だ。
自分の父親がこんな男だったら本当にヘドが出るなぁというような大人って意外と多い。まあ、そういう人は生涯独身か、女房子供に愛想をつかれている人だったりする。こういう心折れているフリの人とは基本的には接点を持たないようにしている。喫煙所仲間にもならないようにして、己に火の粉がふりかかってこない防衛策をとらなきゃならん。
かつての栄光忘れられず・・・さりとて退職もせず
アウトサイダーにはもう一種類のタイプがいる。わが道をいくおっさん系である。ディレクターは専門職でもあるので、自分の得意ジャンルでは神がかりのようなとんでもなく素晴らしい番組をつくるが、それ以外はまったく仕事ができないおっさんだ。過去に誰もが知る名番組を立ち上げていたり、国内外で賞を受賞していたりする。若手ディレクターが業界に入るキッカケとなった番組を作っていたのは「オレだよ!」「マジすか~」なんて話がチラホラ出てくるような人物だ。
動物番組、音楽番組、ドキュメンタリーと、専門知識、能力がいる仕事をずっとやっていればそれでいいのかもしれないが、そこが組織の怖いところ。突然バラエティー番組を作ることになったり、情報番組担当になったりすることはザラだ。人事部の判断としては、マエストロにはなりきれない人物と判断しているのかしらん。ここが紙一重なのだ。
独立して映画監督や自分の会社を立ち上げて成功する人もいるけれど、アウトサイダーのわが道いくおっさんたちは基本的に退職しようとはしない。ここが大きな間違いなんだよなぁ。自分が望まない部署に配属されたり、心からやる気が起きないような番組に回されると、定例会議に遅れてきたり欠席したりする。そして、放送収録の時などにチラっと顔をのぞかせて「いいんじゃな~い」みたいなことだけ言って帰る。出演者にも、あの人はいったいどういう肩書の人なんですかと聞かれて答えに困ってしまうようなケースを多々みることがある。
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