閉幕作は韓国大ヒット作「国際市場で逢いましょう」
映画祭の最後を飾ったのは「国際市場で逢いましょう」(ユン・ジェギュン監督)。激動の現代史を家族のために生きた父親の物語で、韓国では昨年末に公開され、歴代2位の約1400万人を動員した。
ファン・ジョンミン演じる主人公は、朝鮮戦争で現在の北朝鮮から釜山に避難する中、父親と妹を見失ってしまう。母親や弟たちと釜山の国際市場に小さな店を出す伯母のもとに身を寄せた主人公は、自分の夢を封印して家族のためにがむしゃらに生きる。60年代にはドイツの炭鉱に出稼ぎに行き、70年代には民間業者の派遣スタッフとして戦地のベトナムで働く。ユン監督は縦軸に一人の男の人生を、横軸に韓国現代史のさまざまな出来事を置き、終始個人の視点で物語をつむいでいく。
映画には現代財閥創業者の鄭周永氏やデザイナーのアンドレ・キム氏など、韓国では伝説となっている人々も登場する。中でも東方神起のユンホが往年の人気歌手ナム・ジン役を演じたことは話題となった。
ユン監督は「TSUNAMI ツナミ」(09)の演出や「ダンシング・クィーン」(12)で知られる。「国際市場で逢いましょう」は10年ほど前から温めていた企画という。舞台あいさつでユン監督は「学生の頃に亡くなった父に捧げる映画。父は家族のために苦労したが、自分が父親になってその苦労が分かるようになった。日本も韓国も豊かになったが、その豊かさは天から降ってきたものではなく、父親世代の人々の涙と汗の上に成り立っている。きっと日本でも共感してもらえると思う。映画を見て家に帰ったら、両親や祖父母に電話でもかけて話してほしい」と観客にメッセージを送った。
「国際市場で逢いましょう」は2015年5月16日、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネマート新宿ほか全国で順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
<コンペティション部門 受賞作>
・グランプリ(最優秀作品賞)
「コードネームは孫中山」(台湾)イー・ツーイェン(易智言)監督
・来るべき才能賞
「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」(タイ)メート・タラートン監督
・スペシャル・メンション
「セーラ」(香港)主演女優 シャーリーン・チョイ(蔡卓?)
・観客賞
「コードネームは孫中山」(台湾)イー・ツーイェン(易智言)監督
(以下スポンサーアワード)
・ABC賞
「いつかまた」(中国)ハン・ハン(韓寒)監督
・薬師真珠賞
「アイ・ファイン、サンキュー、ラブ・ユー」(タイ)主演女優 プリーチャヤー・ポンタナーニコン
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。