前衛芸術家アンディ・ウォーホルも魅力を認め、1960年代の米国で一大ブームを巻き起こした絵画「ビッグ・アイズ」シリーズ。作者のウォルター・キーンは一躍時の人となるが、実はその絵は口べたで内気な妻マーガレットが描いたものだった──。人気漫画の「パワーパフガールズ」など、米ポップ・カルチャーに大きな影響を与えた「ビッグ・アイズ」にまつわるエピソードを、ティム・バートン監督が映画化した。
秘密を守るため、娘すら遠ざけて部屋にこもる
58年、カリフォルニア。マーガレット(エイミー・アダムス)は夫を残し娘と家を出た。美大出身、絵で食べると決意し、未来のアーティストが集まるサンフランシスコのノースビーチで似顔絵を描きを始める。そこで「パリの美術学校に通った」というウォルター(クリストフ・ワルツ)と出会い、意気投合して結婚をする。
大きな目の子供を描く内気なマーガレット。平凡な風景画を描く社交的なウォルター。ある展覧会でマーガレットの「ビッグ・アイズ」に注目が集まり、人々に大人気となる。しかし、ウォルターはひょんなことから「自分が作者だ」と言い始め、マーガレットを丸め込み、「ビッグ・アイズ」の作者として振る舞い始める。マーガレットも秘密を守るため、娘すら遠ざけて部屋にこもり、絵を描き続ける──。
「チャーリーとチョコレート工場」(05)、「アリス・イン・ワンダーランド」(10)など、独創的なファンタジー映像が得意なバートン監督。多くのファンを獲得しつつ、イラストレーターとしても活躍している。日本でも展覧会を開くほどで、絵がテーマの「ビッグ・アイズ」はずっと温めてきた題材かもしれない。
アリスは夫に名前を奪われ、絵を生み続ける「ゴースト・ペインター」だ。日本でも昨年、他人に曲を描かせるニセ音楽家が問題となった。いわくつきの実話がベースの作品だが、監督は興味本位になりがちな点ではしっかり腰を落ち着け、夫婦それぞれの人格を掘り下げ、事件の全体像を明確に描き出している。主演二人の好演も手伝い、見ごたえある作品になった。
「ビッグ・アイズ」(2014年、米国)
監督:ティム・バートン
出演:エイミー・アダムス、クリストフ・ワルツ、ダニー・ヒューストン、ジョン・ポリト、クリステン・リッター
2015年1月23日(金)、全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。