映画にするのは恥ずかしかった
独特の色彩の中、即興風に日常を切り取る手法は、香港のウォン・カーウァイ(王家衛)監督作品を彷彿とさせる。
「私自身がウォン監督のファンなんです。彼や米国のリチャード・リンクレイター監督(『恋人たちの距離』など)の作品が好き。観る人にリアリティーを感じてほしい。脚本に自分自身の経験を盛り込んだことで、より書きやすくもなりました」
フィリピン映画ではこれまで、同性愛者のイメージが戯画的に固定化されていたという。それを払拭したくもあった。「ゲイの男の子に恋をする設定も、監督自身の体験ですか」と聞くと、うつむき加減に微笑んだ。
「そうです。ずっと心にしまっていたので、映画にするのは恥ずかしかった。友人たちに知られてしまいますから(笑)。私にとっても思いもよらぬ経験でした。男らしく、女らしくではなく、性別を超えた愛を描きたかったんです」
「SHIFT 恋よりも強いミカタ」(2013年、フィリピン)
監督・脚本:シージ・レデスマ
出演:イエン・コンスタンティーノ、フェリックス・ローコー、マット・ヴァレナ、アレックス・メディーナ
2014年10月25日(土)、新宿シネマカリテほかでレイトショー。ほか全国順次公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。