今春の「大阪アジアン映画祭2014」で最高賞のグランプリを獲得したフィリピン映画「SHIFT 恋よりも強いミカタ」が2014年10月25日(土)公開される。マニラに暮らす若い男女を主人公に、等身大の恋を爽やかに描いた作品だ。シージ・レデスマ監督は「男らしく、女らしくではなく、性別を超えた愛を描きたかった」と語った。
私もコールセンターで9年働いていました
コールセンターに勤めるエステラ(イエン・コンスタンティーノ)の夢は、シンガソングライター。なかなか計画は進まず、自分探しを続けている。煮詰まって仕事も遅刻しがちなエステラに、教育係として先輩のトレヴァー(フェリックス・ローコー)が指名された。面倒見もよく優しいトレヴァーに、エステラは淡い恋心を抱く。しかし彼が好きなのは男性だった──。
カラフルな画面とポップな音楽。フィリピンの若者の「今」を軽やかにとらえ、心の揺れを丁寧に追っていく。繊細で優しき登場人物が、観る者の心をなごませる。エステラと同じように「私もコールセンターで働いていました」という監督は、自分の体験を脚本に反映させた。
「大学で心理学を学んだ後、コールセンターで9年働きました。ただ、映画の道に入る夢を捨て切れず、映画学校で脚本を書く勉強を始めました。書き上げた脚本が賞を獲り、製作が実現したのです」
気の合うゲイの男友達に、徐々に恋心が芽生えていく。エステラを演じたイエンは、フィリピンの若い世代に人気のシンガーソングライター。トレヴァー役のフェリックスは父も俳優で、独立系映画を中心に活動する若手俳優だ。
「エステラには演技経験の少ない人を望んでいました。イエンは純粋でチャーミング、子供っぽいところが魅力。フェリックスはこれまで男性的でミステリアスなイメージでしたが、逆の役を演じてもらいました。テスト段階から二人の相性がとても良かったので起用を決めました」
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。