番組のイメージを意外に大きく左右するのが、声。そう、ナレーションだ。最近、ある番組のナレーションが有名な女性タレントから男性になり、随分とイメージが変わった。視聴者の気持ちを代弁してくれていたようなナレーションから、淡々と客観的に出来事を伝えるだけのナレーションになった。別番組になったのかと思うほどだ。
そのぐらい、ナレーションは番組のイメージを左右する重要なセクションだ。だが......
さすがプロ!いざ収録は一発OK
「お待たせしましたあ」
ナレーターさんのスケジュール管理はすさまじい。番組制作中でナレーターさんにブースに入っていいただき収録するのはたいていが夜中だ。たとえば、「23時に編集スタジオに来て下さい」といった感じ。だが、そのまますぐ打ち合わせをして収録になる場合はほぼない。そこからひたすらお待ちいただく。まだVTRが繋がっていない。だからナレーションも書けない。
このナレーションが書けないというのは私たちの責任である。でも、VTRの尺を書き留めて、その時間に合わせて的確な文章を書くというのは、やはり少々時間をいただくことになる。次々にできあがってくるVTRに合わせて、ひたすら頭をフル回転させてパソコンに向き合って書いていく。
というような作業がナレーターさんがいらっしゃってからも続くわけで、最終的にブースに入るのは26時といった感じになる。ようやく「お待たせしましたあ」とナレーターさんに声を掛けさせていただく事になる。
ところが、そこはさすがプロ。そこまでお待ちいただいていざ収録となると、1時間番組でもナレーション録りは40分ぐらいで終わる。よほど言葉を噛んだり詰まったりしないかぎり、たいていが1発OKだ。
ひどいときは、19時に入っていただいているのに、まったく制作が進まずに24時過ぎに「やはりきょうはお引き取りいただいて、あすの朝7時にお願いします」なんてこともある。それも、周囲に飲食店も何にもない台場付近となると悲惨だ。ただやってきて、タクシーで送り返されるだけ。待って待って待って、この扱い。制作のワガママに根気よく付き合っていただくことが多い。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。