ジャーナリストで詩人のマーク(ジョン・ホークス)は、子供の時に患ったポリオが原因で、首から下がまったく動かない。しかも呼吸機能に障害があるため、一日の大半をカプセル型呼吸器の中で過ごしている。しかし過酷な境遇にありながら、マークは決して悲観することなく、前向きに生きている。
女性との接し方を教えるセックス・サロゲート
マークは口にくわえたスティックでパソコンを操作し、原稿を執筆している。ヘルパーの女性や教会の神父と気さくに会話を交わし、信頼できる人間関係を構築している。仕事の面でも生活の面でも、マークは健常者に少しも引け目を感じていない。
ただし、一つだけ思いどおりにならないことがある。恋愛だ。マークは若く美しいヘルパーのアマンダに恋をし、告白するがふられてしまう。失意の底に沈んだマークだったが、障害者のセックスを仕事で取材し、改めて「女性と触れ合いたい」という強い願望が湧き起こる。
意を決してセラピストに相談すると、セックス・サロゲート(代理人)のシェリル(ヘレン・ハント)を紹介される。セックス・サロゲートとは、女性との接し方を知らない障害者などを対象に、話し方、体への触れ方、性交の手順に至るまで、実地指導する専門家である。
セッション(面接・指導)を重ね、段階を踏みながら徐々に問題を解決し、最終目標(性交)達成へ導く。そのプロセスは、心の問題を治療する心理セラピーと変わらない。性的サービスで快楽を提供する売春婦とはまったく別の意味での、性のプロフェッショナル。それがセックス・サロゲートだ。
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