文才に恵まれた男子生徒と、かつて作家を志した国語教師。生徒が書いた作文は教師を魅了し、2人は密接に結び付く。教師の個人指導を受けた生徒は、次々と"新作"を提出。教師は生徒の作品世界にのめり込んでいく――。
16歳の少年と彼の才能の虜となった中年教師のスリリングな人間関係
フランソワ・オゾン監督の新作「危険なプロット」は、16歳の少年と彼の才能の虜となった中年教師のスリリングな人間関係を描く。現実の中に虚構が忍び込む。オゾンの真骨頂ともいえる作劇が冴える傑作だ。
新学期を迎えたギュスターヴ・フローベール高校。国語教師のジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒たちに書かせた作文の出来にうんざりしながら日々を送っていた。そんなある日、駄文の山の中に1編のすぐれた作文を発見し、目を輝かす。
書いたのはクロード(エルンスト・ウンハウワー)。いつも教室の最後列に座る目立たない生徒だった。友人宅を訪れた様子を描写した文章には、父子に対する辛辣な批評や、母親への性的関心が印象的かつ露骨につづられていた。作文の最後には"続く"と記されている。ジェルマンは"続き"が読みたいと思った。クロードの文才に惚れ込んだジェルマンは、作文の個人指導を買って出る。アドバイスを受けたクロードは腕を上げ、次々と"続編"を書いていく。ジェルマンは作品世界にのめり込んでいく。
だが、ここで不測の事態が起きる。クロードは数学を教えることを口実に友人の家を訪れていた。だが、友人の成績が伸びないため、家庭教師を雇うという。そうなると、クロードはもう出入りできず、"家族の物語"も執筆できなくなる。あわてるジェルマンに、クロードはあることを提案する――。
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