エンタメ要素たっぷり 「スタートレック2」を思わせるクライマックスへ
エイブラムス監督らしいスピード感、柔軟性あふれる演出は、予想をはるかに上回る。カーク、スポックらの心理は十分に掘り下げられ、ユーモアあるスコッティ(サイモン・ベッグ)が緊張感を和らげる。そして"負のカリスマ"であるハリソンが作品全体を支配。スペースシップバトル、ハリソンの追跡劇から肉弾戦、都市破壊。エンタメ要素をふんだんに盛り込みながら、劇場版「スタートレック2」(82)を思わせるクライマックスへ。"トレッキー(『スタートレック』ファン)"を熱狂させる展開だ。
作品はほぼ完ぺきな仕上がりだが、マイケル・ジアッキノの音楽に不満が残る。テレビ版の作曲家アレクサンダー・カレッジや、前の劇場版のジェリー・ゴールドスミスのように、印象的なメロディーが欲しかった。今回エンドロールで流れたテレビ版テーマ曲のように、聴いた瞬間ふと涙腺が緩むような音色が生まれれば、エイブラムス版もパーフェクトになるだろう。
「スター・トレック イントゥ・ダークネス」(2013年、米国)
監督:J.J.エイブラムス
出演:クリス・パイン、ザッカリー・クイント、ゾーイ・サルダナ、ベネディクト・カンバーバッチ、ジョン・チョウ、サイモン・ペッグ、カール・アーバン、ピーター・ウェラー
2013年8月16日、17日、18日よりお盆先行公開決定。8月23日、TOHO シネマズ日劇ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。