2013/6/ 8

映画「ローマでアモーレ」/原点回帰のウディ・アレン 変幻自在な演出が冴える上質コメディ

前作がパリで、その前はロンドン。で、今回はローマ。ウディ・アレン監督の新作は、"永遠の都"ローマを舞台に、4つのエピソードが展開するオムニバス喜劇だ。アレン自身も久々に役者として登場。独特のくどさは健在だが、目立ちすぎることはなく、他のキャラクターをうまく引き立てている。円熟の味というべきか。

クライマックスの爆笑シーンにつながる1stエピソード

アレンが登場するのは、最初のエピソードだ。旅行中にイケメン弁護士のミケランジェロと恋に落ち、結婚することになった米国人女性、ヘイリー。ミケランジェロの家族に会わせるため、ニューヨークから両親を呼び寄せる。元オペラ演出家の父親ジェリーに扮するのがアレンだ。ジェリーは、ミケランジェロの父親ジャンカルロ(ファビオ・アルミリアート)が類まれな歌唱力の持ち主であることを知ると、彼を売り出して自らもオペラ界に返り咲こうと画策するが、事は思い通りには進まず――。ジャンカルロは"シャワーを浴びながら"じゃないと実力を出せない。この設定が、クライマックスの秀逸な爆笑シーンにつながっている。

第2のエピソードに登場するのは、田舎からやってきた新婚カップル。妻のミリーが外出中、夫のアントニオが1人きりでホテルの部屋にいると、部屋を間違えてコールガールのアンナ(ペネロペ・クルス)が入ってくる。誘惑するアンナ。抵抗するアントニオ。ベッドでもみ合っているところに、あろうことかアントニオの親戚たちが訪ねてくる。一方、美容院を探して道に迷ったミリーは、憧れの映画スターと遭遇し、貞操の危機にさらされる――。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]巧みな脚本により同時進行する4つのエピソード
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