「本当はピアニストになりたかった。俳優は...2番目かな」
──音楽があふれた作品ですね。今まで多くの名作に出演してきましたが、今も印象に残る作品の音楽は何でしょうか。
私は「カルテット!」で、美しく現実を描いた。老人たちの顔のしわも、内面の美しさを表している。今まで出た作品では「卒業」(67)のサイモン&ガーファンクルも、「真夜中のカーボーイ」(69)の音楽も素晴らしく、「クレイマー、クレイマー」(79)で使われたビバルディも大好きだ。私は昔ピアニストになりたかったが、才能がなく俳優になった。2つ目の選択肢を選んだんだよ。
「カルテット!」は喜劇でもあり、ラブストーリーでもある。主人公の2人は恋に落ちて結婚し、別れ、40年後に老人ホームで再会し、再び愛し合う。40年は無駄だったのだろうか? いや、2人の心にはずっとお互いがいた。私も人生で学んだが、恨みや憎しみは人の成長を止めてしまう。だからやめたほうがいい。
今ここにいる皆さんの中に、悩みがない人などいないだろう。誰もが病い、別れ、痛みなどを経験する。人生にはさまざまなことが起こる。人は何かしら問題を抱えながら、ベストを尽くして生きている。それがこの映画の精神だ。
「カルテット!人生のオペラハウス」(2012年、英国)
監督:ダスティン・ホフマン
出演:マギー・スミス、トム・コートネイ、ビリー・コノリー、ポーリーン・コリンズ、マイケル・ガンボン
2013年4月19日、TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほかで全国順次公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。