「悪役は楽しい。カンで自由に演じられるし、開放感がある」
──悪役にはどう向き合いましたか。
この役は非常にひどい、憎むべき人物だ。今まで演じた誰より忌むべき人物だね。だからこそやりたい、というのが半分。ここまで大胆不敵な人物だと、人の気持ちを考えなくてもいい。自己陶酔してその時のカンで自由に演じられる。ある意味開放感を感じるんだ。そういう意味では楽しかった。
──「リンカーン」への出演を迷っていたダニエル・デイ=ルイスの背中を押したのはあなただと聞きました。ご自身も仕事を選ぶうえで、頼りにしている友達はいますか。
俳優同士でそういう会話は確かにある。ダニエルには......ある夢を見たんだ。「あそこにリンカーンがいる」と思って近づくとダニエルだった。役に入り切っているから声をかけないほうがいいな、と思って立ち去った......そんな夢。それを彼に話した。誰かが演じるなら彼しかいないと思ったし、そのために生まれてきたといってもいい人だ。
僕は芸能界で育ったので、相談できる友達はたくさんいる。トビー・マグワイアもその一人。夢や昼寝をきっかけに行動することも多い。(新作の)「ウォール街の狼」もスコセッシと映画を撮っている夢を見て、彼に話し、本当に演じることになった。
──好きな悪役は?
たくさんいるけど。うーん...選ぶのは難しいな。参考にしたのは「トゥルー・ロマンス」(93)のゲイリー・オールドマン、「トゥームストーン」(同)のバル・キルマー。好きな悪役は一人挙げるなら「羊たちの沈黙」(91)のアンソニー・ホプキンスかな。
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