2013/2/ 9

映画「故郷よ」/ミハル・ボガニム監督インタビュー
チェルノブイリ「描いたのは、住み慣れた土地を離れざるを得なかった人々」

「福島の原発事故はショックでした」

映画が完成したのは2011年。奇しくも福島の原発事故が起きた。「ちょうど編集作業に入ったところだった。ああ、また同じことが起きてしまった。ショックだった。自分が撮影したフィルムと、テレビのニュース映像が同じに見えた。不思議な感覚でした」

ドイツやイタリアでは原発廃止へと動いた。しかしウクライナは今も原発に依存し、日本も廃止への明確な姿勢を見せない。

「放射能は目に見えない。正確な情報も入ってこない。だからその影響を想像し、理解しにくい。私もゾーンでの撮影時、放射能の存在をつい忘れることがありました。放射能が怖いと思っても、被災者への遠慮で大きな声が上げられない面もあります。チェルノブイリの事故は忘れられかけ、福島もそうなるかもしれない。しかし、一度起きたら人生がすべて破壊されるのが、原発事故の恐ろしさ。もう1度そのことをよく考えてほしいです」


「故郷よ」(2011年、仏・ウクライナ・ポーランド・独)
監督:ミハル・ボガニム
出演:オルガ・キュリレンコ、アンジェイ・ヒラ、イリヤ・イオシフォフ、セルゲイ・ストレルニコフ
2013年2月9日、シネスイッチ銀座ほかで全国順次公開。オフィシャルサイト

記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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