韓国歴代3位の1230万人を動員した歴史映画「王になった男」(2012年)主演のイ・ビョンホンが2013年1月29日、東京都内で記者会見した。暗殺におびえる王と、王の影武者にされた道化師を一人二役で好演。「楽しく痛快な物語。自分を王だと思って見てほしい」と語った。
「王になった男」の舞台は、17世紀の朝鮮王朝時代。暴君で知られた王の光海君(クァンへグン)は、暗殺の恐怖から影武者を立てる。選ばれたのは低い身分の道化師ハソンだ。ハソンは命じられるまま15日間「王になり」、圧政に苦しむ民の声を聞く──。誇り高く冷徹な王と、人情深くユーモアあふれる道化師の娯楽作に仕上がっている。
「空白の15日間」を描いたエンターテイメント
──韓国映画史上歴代3位という興行成績ですね。理由は何だと思いますか? また、日本の観客にどこを見て欲しいですか?
(ヒットしたのは)まずイ・ビョンホンが出ているから?(笑)。冗談ですよ(笑)。まじめに、物語は、実在の王の日記にある「空白の15日間」に基づいているんです。空白の期間にこんなことが起きたらどうだろう?というアイデアがあり、フィクションとして加味されました。
(王の影武者となった道化師ハソンは)身分が低く、どん底の生活を送っていました。ハソンは王の真似をすることで、民衆のうっぷんや悲しみを代わりに吐露し、そこに観客は満足したのではないかと思います。
日本の観客には、まず史実をもとにしたということに関心を持ってもらいたいですね。「もし自分が王だったら」と考えながら見ると、韓国の習慣や文化を知らなくても、痛快に楽しめると思います。
──これまで数々の作品の主演をつとめられてきたと思いますが、現場を引っ張る主演俳優と、王を演じることに共通点はあるのでしょうか。
表面上は似ているところもあるでしょう。周囲の視線を集めることで、生活は制限され、権力を乱用してはならず、命令に責任が伴う、といった点でしょうか。しかし異なる点もあります。王は民衆の声に耳を傾け、民衆の要求を実行するのが仕事。しかし俳優はファンの好みだけに合わせると、自分のカラーを失ってしまう。周りの声に耳を傾けつつ、自分の意志で作品を選ぶことが必要ですね。
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