2013/2/ 1

「コックファイター」(ニュープリント版)
39年の時を経て日本初上陸 "闘鶏バカ"のクールな生きざまを描いた幻の良作

闘鶏シーンはドキュメンタリーのような生々しさ

迫力ある闘鶏シーンも特筆に値しよう。つま先に付けられた剣による激しいファイトの様子、観客の反応、表情、たたずまいがリアルで、ほとんどドキュメンタリーといってよい。撮影はフランソワ・トリュフォーやエリック・ロメール作品を手がけた名匠、ネストール・アルメンドロス。恵まれない条件のもと、ここまで鮮烈で生々しい映像を撮り上げた手腕はさすがである。

フランクの恋人のドディには「断絶」に出演したローリー・バード。また弟夫婦を「避暑地の出来事」(59)などで一世を風靡した往年の青春スター、トロイ・ドナヒューと、「アンネの日記」(59)で人気を博したミリー・パーキンスが演じている。

なお、ヘルマンが再起をかけて撮った「コックファイター」は興行的に惨敗。結局は「断絶」の二の舞となった。しかし、オーソン・ウェルズの例を持ち出すまでもなく、興行成績の不振と作品の価値とは無関係だ。今回は、ニュープリント版での日本初公開。映画マニアなら見逃すべきではない。



「コックファイター」(74年、米国)
【ストーリー】闘鶏トレーナーの中年男フランク(ウォーレン・オーツ)は絶大な自信を持っていた。しかしライバル、ジャック(ハリー・ディーン・スタントン)との試合で大口を叩きながら大敗を喫したとき、悔しさと惨めさのあまり全国チャンピオンになるまでいっさい口をきかないという誓いをたてる。闘鶏に没頭するあまり恋人(ローリー・バード)にも見捨てられるフランクだったが、最強の鶏"白い稲妻"を手に入れ、飼育業者のオマーとともに猛特訓を開始するが...。
監督:モンテ・ヘルマン
出演:ウォーレン・オーツ、ハリー・ディーン・スタントン、ローリー・バード、トロイ・ドナヒュー、ミリー・パーキンス、リチャード・B・シュル
2013年1月19日、渋谷シアター・イメージフォーラムほかで全国順次公開。 オフィシャルサイト(http://www.cock-f.com/)


記事提供:映画の森

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

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