「紫色、好きなんですか?」とたまに聞かれます。服やマフラー、手袋、etc......なぜか気付いたら紫色のアイテムばかり集まってくる......。先日も紫色の手頃なバッグと出会い、その数日後はお台場のアウトレットモールで紫色のフラットシューズと遭遇。運命だと感じ(割引にもなっていたので)、つい購入してしまいました。
しかしその時店員さんに「これでまた紫のコレクションが増えますね♪」と言われたのが、悪気は無いのですが、心に引っかかっています。全身紫色の奇人だと思われているような気がして......。というか、昔知人に全身緑色(ラッキーカラーだそう)の人がいましたけれど、実際奇人でした。全身同一カラーだとまずい、そんな思いに至りました。
しかしどうしても紫色に惹かれてしまい、先日も原宿のショップで紫色のコートを購入......しようとした瞬間、一緒に買い物していた人が急激な肋間神経通に襲われ、買い物どころではなくなり、おかげで紫の人化は免れました。
今週の粗品プレゼント
これ以上紫を増やすわけにはいかないと思い、クローゼットの紫コレクションを放出させていただきます。一昨年くらいに、繊維問屋街、馬喰町のおしゃれショップ「ゆとりト」という店で発見したコートです。裏地がボアで、軽くてわりと暖かいです。
ちなみに紫色好きに貼られがちなレッテルは、「欲求不満」というものです。出典は不明ですが、紫色好きな女性はそう思われがち。かの美空ひばりも紫色好きを公言していたら「それはお嬢、欲求不満なんだよ」と忠告されたとか。いっぽうで、第7チャクラに対応するスピリチュアルな色とか、最高位の僧侶を表す色とも言われていて、定義の幅は広いです。高貴に見えるか、欲求不満に見えるかは着ている人次第かもしれません......。
(後日談) 紫のコートがなくなったので、つい気が緩んでまた紫のアクセサリーを購入してしまいました......。紫スパイラルから抜け出せません。
辛酸なめ子
1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。