米大統領のシークレット・サービス(警護官)とテロリストの激突を、ジェラルド・バトラー主演で描いた「エンド・オブ・ホワイトハウス」(13)の続編「エンド・オブ・キングダム」。舞台を米ワシントンから英ロンドンに移し、新たな戦いが描かれる。監督にはイラン出身のスウェーデン人、ババク・ナジャフィ。
犯人を絶対的な悪として描かない
ホワイトハウス陥落から2年。シークレット・サービスに復帰したマイク・バニング(ジェラルド・バトラー)は、米大統領(アーロン・エッカート)に付き添いロンドンへ向かっていた。不可解な死を遂げた英首相の葬儀に参列するためだ。ところが世界40カ国の代表が集まる中、突然同時多発テロが起きる──。
前作では北朝鮮のテロリストが敵だったが、今回はパキスタンの武器商人だ。米国のミサイル攻撃で結婚式の最中に家族を殺され、恨みをもって米大統領を攻撃する。犯人を絶対的な悪として描かないところに、現実の複雑な世界情勢が反映されている。
ロンドンで起きたテロで各国首脳、警官、市民に多くの死傷者が出る。観光名所も次々破壊される中、大統領はかろうじてその場を脱出するが、テロリストの攻撃は執ようだった。最終目的は大統領をとらえ、ネットで全世界に処刑映像を流すこと。バニングは大統領を守り通せるのか。
たたみかけるアクション、爆破、破壊の連続だ。一瞬たりとも気を抜くひまがない。誰もが知るロンドンの名所が、特殊効果で派手に破壊される。監督の演出は強引で、やや稚拙な特殊効果シーンも力でねじ伏せる。前作をはるかに上回るスケールだ。大統領と警護官の友情もうまく生かされ、テロに脅かされる現実世界をほうふつとさせる大作となった。
「エンド・オブ・キングダム」(2016年、英・米・ブルガリア)
監督:ババク・ナジャフィ
出演:ジェラルド・バトラー、アーロン・エッカート、モーガン・フリーマン、アロン・アブトゥブール、アンジェラ・バセット
2016年5月28日(土)、新宿バルト9ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。