映画「ホワイト・バレット」/容疑者、刑事、女医の丁々発止の心理戦

ホワイト・バレット 映画

(c)2016 Media Asia Film International Limited All Rights Reserved

頭に負傷し病院に搬送された強盗事件の容疑者、シュン(ウォレス・チョン)。手術を拒み仲間の助けを待つシュンを監視し、事件解決のチャンスをうかがう敏腕警部、チャン(ルイス・クー)。シュンが手術を受け入れるよう説得を試みる女医のトン(ヴィッキー・チャオ)。三者三様の思惑は、一触即発の緊張感をはらみ、やがて壮絶なクライマックスを招き寄せる――。

手術を拒否するのは患者の人権だ。そう主張し、仲間が現れるまでの時間を稼ぐシュンは、会話中に哲学者のバートランド・ラッセルやギリシャ神話を引用するなど、なかなかのインテリで、一筋縄では行かない男である。対するチャン警部は、事件解決のためには違法行為も辞さない執念の男だ。この2人の間に割って入るトンは、過労で手術ミスを重ねながらも、シュンの命を救いたいと使命感に燃える若きエリート医師。

この3人が交える丁々発止の心理戦が、前半の見どころだ。また3人のほかにも、精神病院から転院してきた老人、手術ミスで手足の麻痺した男、意識不明の男など、多彩な人物が登場。これらの個性的な人物たちが演じる人間ドラマも見ごたえがある。

360度全開のパノラマ銃撃戦

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後半は、待ちに待ったアクションが炸裂する。トー監督の専売特許とも言える360度全開のパノラマ銃撃戦。巻き込まれた患者や看護師がスローモーションでもんどり打つ。白衣が赤く染まる。水平方向にぐるりと回転しながら繰り広げられるバトルの凄まじさ、美しさには、いつもながらゾクゾクさせられる。

クライマックスに至ると、アクションは水平方向だけでなく、垂直方向にも展開。シュン、チャン、トンの3人が生死の運命をかけて一つにつながるシーンは圧巻の一語だ。トー作品では常連のラム・シューが、ファット刑事役で出演。尻に刺さったナイフを抜かずに銃撃戦を続ける姿が笑いを誘う。こういうコミカルなテイストをさりげなく加えるところも、トー監督らしさである。

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トー監督自身が立ち上げた製作会社"ミルキーウェイ・イメージ"の設立20周年記念作品。還暦を超えてますます盛んな巨匠の創造性が、遺憾なく発揮された傑作だ。

「ホワイト・バレット」(2016年、香港・中国)
監督:ジョニー・トー
出演:ルイス・クー、ヴィッキー・チャオ、ウォレス・チョン、ラム・シュー
2017年1月7日(土) 、新宿武蔵野館ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトで。

記事提供:映画の森

  • A新宿武蔵野館
  • 住所〒160-0022
  • 東京都新宿区新宿3丁目27−10 武蔵野ビル
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