請負労働者のトム(ジェームズ・フランコ)と、妻で小学校教師のアナ(ケイト・ハドソン)。トムの祖母が遺した古屋敷を相続し、米シカゴから英ロンドンに移住してきたが、稼ぎは乏しく生活は楽ではない。そんな二人がつい出来心で、死んだ他人の金に手を出してしまう。死んだのは屋敷に間借りしていたマフィアの一味、ベン一味だった。死因は薬物の過剰摂取。トムとアナがベンの部屋で発見した札束の山は、ベンが仲間を裏切って手に入れた麻薬絡みのブラックマネーだったのだ。
終盤はハラハラドキドキの連続
いつか子供を授かり幸せな家庭を築きたいと思っているトム。その日を夢見て屋敷のリフォームにも余念がなかった。だが借金の返済が滞り、立ち退き勧告を受けている。政府による外国人労働者への締め付けもきつい。そんな厳しい状況ゆえに、悪いとは知りつつ大金に手が伸びた。危険な金とは想像もしなかったのだ。
当然ただではすまない。マフィアのリーダー格で、ベンに裏切られ、弟も殺されたジャック。フランスから渡ってきたマフィアで、もともと金の持ち主だったカーン(オマール・シー)。マフィアに娘をヤク漬けにされ殺されたベテラン刑事のホールデン(トム・ウィルキンソン)。トムとアンは、ふた手の犯罪者グループに狙われ、警察にもマークされる――。
「Good People」という原題どおり、トムもアナも善良そのものといってよい人間だ。大金を発見しても、懐に入れるかどうかで大いに悩む。「しめた」ではなく「どうしよう」。喜びより戸惑いのほうが大きい、小心な市民。
そんなトムとアナに、観客は共感を覚えずにはいられないだろう。一挙一動から目が離せなくなるだろう。次々と襲いかかる危機を二人はいかにクリアしていくのか。殺しのプロフェッショナルたちを、無力な一般人はどう迎え撃つのか。
終盤、屋敷にマフィアたちを誘い込んでのバトルは、ハラハラドキドキの連続。「暗くなるまで待って」(67)の緊迫感に「ホーム・アローン」(90)のユーモアも加わり、独特のスリルを醸し出している。
「パーフェクト・プラン」(2013年、米国)
監督:ヘンリク・ルーベン・ゲンツ
出演:ジェームズ・フランコ、ケイト・ハドソン、トム・ウィルキンソン、オマール・シー
2015年2月28日(土)、シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ渋谷、ユナイテッド・シネマ豊洲ほかで全国公開。作品の詳細は公式サイトまで。
記事提供:映画の森
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。