出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2014/11/ 3

【第18回】世界中で話題沸騰! 新作ミュージカル「Once」の魅力徹底解説

2011年オフ・ブロードウェイのニューヨーク・シアター・ワークショップで開幕したミュージカル『Once』は、12年にオン・ブロードウェイに進出し、その年のトニー賞で最優秀ミュージカル作品賞を含む8部門を受賞し、翌年にはグラミー賞ベスト・ミュージカル・シアター・アルバムを受賞しました。その後、ロンドンのウエストエンドで開幕、そしてこの冬、ついにツアーカンパニーの来日公演が実現します。

観客も舞台に上がることができる一体感

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『Once』は07年に公開されアカデミー賞歌曲賞を受賞した同名映画(邦題:『Once ダブリンの街門で』)がベースになっています。この映画は、わずか13万ユーロ(日本円で約1700万円)という低予算と17日間という短い撮影期間で制作されたにもかかわらず、口コミで人気が広がり、世界中で20億円を超える興行収入を達成しました。

魅力は何と言っても心にしみる美しい楽曲。この映画をベースに、新たに2曲の楽曲が追加され、アイルランド出身の劇作家とスコットランド人の演出家らによってミュージカル化されました。

舞台上にはアイリッシュバーカウンターが一つ。開演前には観客も舞台に上がることができ、セットのバーで実際の飲み物を買うことができます。舞台上で観客が飲み物を楽しんでいるうちに生演奏が始まり、観客が客席に戻ることで自然と舞台が始まります。この舞台にオーケストラやバンドはありません。14名の出演者が役者としてのパフォーマンスに加え、ギター、ピアノ、ヴァイオリン、アコーディオン、ドラム、チェロなどの楽器を自ら手にとりオケピの役割も果たすのです。

この斬新な演出に加えて、心温まるラブストーリーが演劇ファンの心をわしづかみし、ブロードウェイでは今でも連日スタンディングオーベーションの嵐がまきおこっています。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]物語の舞台はアイルランドの首都ダブリン
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