童話「ジャックと豆の木」と、英国の民話「巨人退治のジャック」を合わせた「ジャックと天空の巨人」。監督は「X-MEN」シリーズのブライアン・シンガー。物語の世界を広げるため、映画では前日譚を付け足している。
前日譚はこうだ。かつて天空の巨人が豆の木を使い、地上に降りて悪さを働いた。エリック王に巨人は倒され、天空の国に追い返された。王は巨人の心臓で王冠を作り、豆の木は切り倒された。王冠と豆は王の棺とともに葬られた──。ここまでをCG(コンピューター・グラフィックス)アニメーションで描き、続いて冒頭2つの物語が加わる。
「スター・ウォーズ」の関係を彷彿させるジャックとエルモント
農民ジャック(ニコラス・ホルト)の手に入れた豆が、家の床下に落下。そこへイザベル姫(エレノア・トムリンソン)が迷い込む。豆は雨水を吸い、床をぶち破り空へ。つるは家を巻き込み上昇し、姫も空へ上がってしまう。衛兵エルモント(ユアン・マクレガー)とジャックは豆の木を登り、姫を助けに天空の国へ向かう。
救出隊に加わった姫の婚約者ロードリック(スタンリー・トゥッチ)の存在が鍵となる。エリック王の王冠で巨人を操り、国を支配しようとするのだ。ところが豆の木で天と地が再びつながり、巨人が地上に攻めてくる。王(イアン・マクシェーン)は国を守るため、姫を天空に残したまま木を切る──。
ジャックとエルモントのコンビは、マクレガーが「スター・ウォーズ」シリーズで演じたジェダイ騎士オビ・ワンと主人公アナキン、ルークとハン・ソロ船長の関係を思い出させ、全体的なストーリーの流れも似ている。また、巨人を率いる2つ頭のファロン将軍は、英国映画「ジャックと悪魔の国」(1962)に登場した双頭の巨人を思わせ、マニア心をくすぐる。
ジャックと巨人の対決は、天空の国で終わらない。地上戦への発展はオリジナルで迫力満点。名作童話を大胆にアレンジし、勧善懲悪の冒険活劇に仕立てた。しかし、ファミリー層をターゲットにしたせいか、過去のブライアン・シンガー作品に比べて大味なことは否めない。大人は童心に戻って楽しむといいだろう。
「ジャックと天空の巨人」(2013年、米国)
監督:ブライアン・シンガー
出演:ニコラス・ホルト、エレノア・トムリンソン、スタンリー・トゥッチ、イアン・マクシェーン、ビル・ナイ、ユアン・マクレガー
2013年3月22日、丸の内ルーブルほかで3D・2D・吹き替え版同時公開。作品の詳細は公式サイトで。
記事提供:映画の森
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