【辛酸なめ子の東京アラカルト#73】サステナブルなイメージにチェンジした「H&M」が銀座で再始動。
H&Mマジックに包まれて、次々と春夏アイテムを購入
1階には机と椅子が並ぶ期間限定のイートインスペースも。レジでオーダーし、ふと後ろを見たら、そっくりの店員さんがもう一つのカウンターにいて、半ば頭がパニックに。たまたまなのか、それとも不思議現象なのか......。目をこすりながら何度も見ていたら壁が鏡になっていることに気付きました。鏡だと一見気付かない感じになっていて、写っている座席も2倍で奥行きが広く感じられます。さっそくH&Mマジックにかけられたようです。

「H&M」×「ミュグレー」が期間限定で1階に並んでいました。かなり布面積が少ないです。
オープン直後、1階には「ミュグレー(MUGLER)」のコラボレーションコレクションが並んでいました。かなり激しいボディコン系衣装で、カーダシアンファミリーしか着こなせなさそうですが、感度が高そうなお客さんが購入していました。オープンして数週間後にまた行ったら、1階はH&Mのレディースの新商品が並んでいました。

レディースの新商品。リネン素材が人気のようです。
2階はレディース、3階はメンズのコーナーで、値段の表記を見るとやはり期待通り安いです。Tシャツは599円から。キャップは799円で買えます。レディースのリネンのシャツが2999円、リネン混のパンツが2999円など。リネンは麻の中でも柔らかくて高級な素材ですが、この価格で買えるとは。

サステナブルに管理された森林の木材を原料とした天然由来の素材、Viscose。
H&Mは化繊が多いイメージがあったのですが、素材の表記を見ると、他のアイテムもオーガニックコットンだったり、リサイクルポリエステルだったり、サステナブルな素材でできているものが多いです。「サステナブルに管理された森林の木材」が原料のビスコースという素材の服もありました。ファストファッションは地球の環境に負担をかけていると言われていますが、最近のH&Mは環境負荷の少ない循環型ファッションを目指しているようです。クローゼットの中にある、かつてのペラペラした素材のイメージが変わりました。
レディースのフロアに行くとリネンのアイテムが次々と売れていきます。私もついリネンのものばかり何点も購入。それでもお会計は9000円くらいで地球にもお財布にも優しいです。

メンズコーナーもバリエーションが充実。北欧センスが感じられる絶妙な色合いです。

デニムは、古着などからできた再生コットンの風合いがいい感じです。
銀座でH&Mの大きな紙袋を手に,満足感に浸っていたら、ハイブランド、ボッテガ・ヴェネタの袋を持った中国人らしき海外観光客の方々と遭遇。敗北感がよぎりましたが......今は景気が良くなるまで、しばらくプチプラの恩恵にあずかりたいです。経済を小さく回し、無理のないサステナブルを目指します。
辛酸なめ子
東京都生まれ、埼玉県育ち。漫画家、コラムニスト。武蔵野美術大学短期大学部デザイン科グラフィックデザイン専攻卒業。近著に、『ヌルラン』(太田出版)、『タピオカミルクティーで死にかけた土曜日の午後』(PHP研究所)『スピリチュアル系のトリセツ』(平凡社)『愛すべき音大生の生態』(PHP研究所)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。