食の流れに身を任せる「渋谷ストリーム」【辛酸なめ子の東京アラカルト#20】
ずっと工事していた渋谷駅前の「渋谷ストリーム」がついにオープンしたので行ってまいりました。
オープン直後なので結構な人出です。「私の知ってる渋谷じゃない!」と不満をもらす金髪の女子とすれ違いましたが、駅近で素敵なお店が増えるのはいいことです。
飲食店がメインで、1階はハンバーガーの「THE GREAT BURGER STAND」、カリフォルニアとエスニックの「GH Ethnica」など個性的なお店が。
中でも50人くらい並んでいるのは金沢のレモネードのお店「LEMONADE by Lemonica」です。この日はあきらめて、後日再訪。雨の日でも7、8人並んでいました。
LEMONADE by Lemonicaでオリジナルの紅茶とレモネードを混ぜたアーノルドパーマー(450円)をオーダー。癒されるおいしさでした。
やはり人気なだけあっておいしくてコスパも高いです。椅子がインスタ映えするブランコになっているのですが、座ってみたら血流が滞っているせいかカーブした座面が腿を圧迫して痛いです。若い女子たちは何ともないみたいでした。自分の血行をチェックできる設備です。
渋谷川は都会の煩悩の臭い? おしゃれ感でうやむやに......
それにしても川沿いを歩いていたら時おりドブっぽい臭いがするのが気になります。「うぐゎっ!」思い切り吸い込んでしまい思わず変な声で叫んでしまったほどです。暗渠だった渋谷川が表に出てきたことで、封じられた邪気が......。
渋谷から広尾、麻布、芝まで流れるアーバンな渋谷川。夕方以降はライトアップされます。白い泡が気になります。
両側から再生水の瀧が流れていますが、その飛沫で臭いが拡散している感があります。
でも、夕方以降は青いライトが川を照らしていて、おしゃれ感でちょっと臭いを忘れられます。この臭いも都会の証だと感じられるようになりたいです。
ちなみに1階の通路の大きいモニターに茶色の濁流の映像が流れているのが謎でした。「STREAM」という単語が意味する川、流れを表しているのでしょうか。
通路で茶色い濁流の映像が流れています。サブリミナル的な意味があるのでしょうか......。
階には「DEAN & DELUCA」のカフェ、おにぎりが並ぶ「かつおとぼんた」、「CITYSHOP PIZZA」、生ハム・サラミが充実のイタリアン「Petalo」、パン屋の「BaKING SHU」など、魅力的な店がひしめいています。
「Precce Shibuya DELIMARKET」は都会で働く人々にとってはありがたい惣菜系が大充実。品揃えに感動したマダムたちが「絶対また来よう!」と宣言していました。
惣菜が充実しているプレッセ。値下がりもあってありがたいです。
3階も素敵なレストランが多数並んでいて、列ができていた「大連餃子基地」に入ってみました。内装が赤レンガで異国情緒があり、羽根部分が丸く美しい模様を描いていました。おいしさ以外にもビジュアル的なサプライズが。
渋谷駅周辺で食に迷った時、渋谷ヒカリエのエスカレーターで上のレストランフロアに上がる気力がない時にもおすすめな施設です。
そして2回ほど訪れて気づいたのは、妙にすっきりと清々しい気分になっているということ。多分この施設に服や雑貨の店がないので、物欲にまみれなくてすむからです。誘惑に弱い人も、ここでは食に集中して、心安らかに浪費を抑えることができます。
1974年、千代田区生まれ、埼玉育ち。漫画家・コラムニスト。著書に、『消費セラピー』(集英社文庫)、『女子校育ち』(ちくまプリマー新書)、『女子の国はいつも内戦』(河出書房新社)、『なめ単』(朝日新聞出版)、『妙齢美容修業』(講談社文庫)、『諸行無常のワイドショー』(ぶんか社)、『絶対霊度』(学研)などがある。
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。