先日、あるディレクターが嘆いていました。「本1冊買うのに、チーフプロデューサーの許可が必要で、使用後も資料をどうするか判断を仰がなくてはいけなくなった」と。
聞けば、コンプライアンスの一環で、番組予算で購入する品々の管理が非常に厳しくなったというのです。番組制作ってクリエイティブな仕事です。なのに、こんなことをやっていたら、本来、力を注ぐべき制作の時間が削られていってしまいます。なにより、スタッフの士気は奪われる一方です。そもそも、彼らはこういった事務作業や手続きは不得意な人種でもあります。
部下はいい災難
なぜこんなことになってしまったのか。聞けば、プロデューサーの評価基準だといいます。本来は「評判のいい番組を作る」「視聴率を上げる」が評価の大前提ですが、それが苦手なプロデューサーだっています。社内人事でこういう人を評価するには、「少ない予算で番組を作る」「危機管理がしっかりしている」といった別の基準が必要になります。結果、本1冊購入に膨大な手間ヒマをかけるのです。
この状況に置かれた部下たちは災難としかいいようがなく、逃げ出すために転職を考え始めます。でも、そうそう都合のいい転職先があるわけではなく、職場環境も改善できない。番組制作者はそんな悲しい技術者なのです。
モジョっこ
* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。