出雲あきらの演劇Life
トニー賞授賞式に22回出席している唯一の日本人、出雲あきら氏が今注目のお芝居を紹介。演劇評論家でありながら現役広告マンでもある出雲氏独自の視点で、ビギナーさんにもぴったりな1本を紹介します。
2017/10/10

伝説の漫画家、三原順の名作『はみだしっ子』をスタジオライフが初舞台化!

この連載で何度か紹介してきた男優だけの劇団「スタジオライフ」が、三原順の傑作コミック『はみだしっ子』の舞台化に挑みます。

『はみだしっ子』は1975年に少女漫画誌「花とゆめ」に連載がスタートするや否や、魅力的な4人のキャラクターと劇的なストーリー展開が10代の少女たちの絶大な支持を受け、一大ブームを巻き起こしました。三原順はその後、『ルーとソロモン』『ロング アゴ-』『Sons』などの傑作を世に送り出しましたが、1995年に42歳の若さで病死しました。没後20年を過ぎた今でもその作品の評価は高く、熱狂的な読者がいまだに多くいます。

原作ファンの期待を裏切らない倉田マジック

スタジオライフの代表作といえば、なんといっても1996年に初演された萩尾望都原作の『トーマの心臓』です。キャストを代えて現在まで度々再演されていて、常にチケットの争奪戦になっています。

『トーマの心臓』の初演を大成功させた後、スタジオライフは同じく萩尾望都の『訪問者』、清水玲子の『月の子』、樹なつみの『OZ』といった少女漫画の名作を次々と舞台化していきました。特に萩尾望都作品との相性がよく、『メッシュ』『マージナル』『11人いる!』など多くの作品を手がけています。

これらすべての脚本・演出を担当しているのは、劇団で唯一の女性である倉田淳。人気のコミックも倉田氏の手にかかれば見事な舞台に再現され、原作ファンの期待を絶対に裏切りません。少女漫画だけでなく、手塚治虫の『アドルフに告ぐ』も舞台化していて、そのクオリティは手塚ファンをも唸らせるものでした。

三原順作品としては、2001年に『Sons』を舞台化しています。しかし、今回の『はみだしっ子』は小さな子どもたちが主人公の作品で、明らかに今までのスタジオライフの作品とは一線を画します。

大人の役者たちがどのように子どもを演じるのか、そして伝説のコミックをどのような作品に仕上げるのか、倉田マジックに期待したいと思います。

* 記事内容は公開当時の情報に基づくものです。

[続き]物語は4人の子どもたちの孤独な旅
1

人気キーワードHOT

特集SPECIAL

ランキング RANKING

Instagram